2009年01月04日
●寿ぎと幽玄の美@三井記念美術館
新年最初に訪問したのは三井記念美術館。「寿ぎと幽玄の美 国宝雪松図と能面」を観ました。
展示室1 能楽にちなんだ茶道具1
「黄瀬戸立鼓花入」。シンプルで時代を感じさせない形状。解説がなかったら、ずっと古い時代の出土品といわれても信じそう。
「備前肩衝茶入 銘塩釜」。鉄のような表現、質感。もちろん焼き物。
「黒楽茶碗 銘面箱 (紀州御庭焼清寧軒窯)」。御庭焼って何?と思って調べると「藩主が他の先進地域より有名な陶工を招いて焼かせたもの」らしい。城の庭に窯を作って焼いたのかと思った。
「色絵鱗文茶碗」。しっとり落ち着いた黒に鱗文が映える。誰の作かと思ったら仁清、手広い。
展示室2 能楽にちなんだ茶道具2
「黒楽茶碗 銘俊寛」長次郎。丸い口の処理に内側の錆色。たまらん。
展示室3 茶室如庵=茶道具の取り合わせ
掛軸の字がちょっと、と思ったら徳川綱吉筆。。。。
展示室4 松竹梅の屏風と翁面
「日月松鶴図屏風」。金地と水辺に色鮮やかな鶴。右上に日と月。
「雪松図屏風」円山応挙。金地に白黒で描く雪と松。シンプルで美しい。
「梅花双鶴図小襖」円山応挙。梅のピンクが愛らしい。
「梅に小禽図風炉先屏風」呉春。枝と鳥の軽快なリズム。そして翁面の展示へ。
展示室5 能面(女・男)
「小面(花の小面)」「孫次郎(オモカゲ)」伝龍右衛門。面ごとにずいぶんと造形が異なり、見比べると面白い。小面はふっくら、孫次郎は細面の美人で人間っぽい。年老いた顔や、芦雪の絵に出てきそうな山姥など。
「蛇」。大きく顎が出ていて滑稽の域。室町時代の面が数多く並び、その状態の良さに感銘。能の知識がないので、もっぱら面の表情の見比べに専念。
展示室6 能面(尉・鬼神・女・男)
時代が下って江戸時代。この頃になると形式が整ってきた感じ。
展示室7 能面(尉・鬼神・男)
「癋見悪尉」洞白満喬。達磨大師のよう。
「大癋見」「小癋見」伝赤鶴。大きく横に結んだ口の両端が、前者は上に笑み、後者は下にへの字。
「牙癋見」伝赤鶴。ビール樽の様な顔型。
「獅子口」伝赤鶴。誇張の極み。目と口の周りに大きく盛り上がった頬肉。
「影清」出目満照。血管が浮き出る皺々の皮膚と細目。マンガみたい。
「痩男」伝日氷。頬がこけて骨が出張った造形、目の下の隈がコミカルですらある。
雪松図へと至る前半は期待通り、能面が並ぶ後半はどうかな?と思いましたが、思いのほか楽しめる展示でした。もっとも、それが能面を見る視点として正しいかと言われると困ってしまいます。
ミュージアムカフェを曲がったところにある書庫扉(モスラー社製)。巨大丁番とリベット、大仰なカンヌキとハンドルがレトロ感満載で良い感じ。
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Tak様>
こんにちは。
先日はありがとうございました。
能面は知識がないと開き直って、人相見比べをしていました。
面師の大仰な名前はすごいですね。仏様みたいでした。