2008年12月12日

●巨匠ピカソ 魂のポートレート/愛と創造の軌跡@六本木

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 六本木で開催中の二つのピカソ展を観ました。パリの国立ピカソ美術館改装によって実現した鳴り物入りの回顧展も、あっという間に会期終了目前。二回目の訪問はオーディオガイドを借りて、ピカソの絵の変遷を辿ることにひたすら集中。

 サントリー美術館巨匠ピカソ 魂のポートレート」。
 青の時代の精緻で凍りつくような「自画像」から始まり、古典の原始的な力強さに満ちた普遍的な「自画像」、さらにオリガとの出会いの頃の自信に満ちた線描の「自画像」。そして彼をめぐる女性との愛憎の渦の中をモンスターのように歩む「ヴェールをかざす娘に対して、洞窟の前のミノタウロスと死んだ牝馬」。狂おしいほどの愛情を芸術に昇華する「接吻」。最後は「若い画家」できれいにまとめて終了。貪欲な創作欲とそれを昇華する才能。奔放な愛情と強靭な身体。

 国立新美術館愛と創造の軌跡」。「ラ・セレスティーナ」。こちらも凍てつく青の時代から始まる。「二人の兄弟」。温かみの射す薔薇の時代へ。「肘掛け椅子にすわるオルガの肖像」。華やかな社交界へと進出してゆく時代に相応しい気品と美しさ。「画家とモデル」。そして愛憎の渦を歩むモンスターの登場。「女の頭部」。キュビスムの分析的手法を立体化したような造形は驚き。「ドラ・マールの肖像」。隣の愛らしいマリー・テレーズと対照的な知的な美しさ。二人が争う様すら芸術に昇華する意欲と才能は凄絶。「泣く女」。その才女が涙にくれる絵をはさんでゲルニカの時代。「雌ヤギ」。愛する女性の遍歴を重ねる中で得た、安らぎを感じさせる童心に満ちた造形。会場は女性が多く、とても熱心に魅入っているのが印象的。

 ピカソの作品が発する、ものすごいパワーと才気に圧倒されました。

Posted by mizdesign at 2008年12月12日 23:47
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? 「巨匠ピカソ」 国立新美術館/サントリー美術館 from はろるど・わーど
国立新美術館(港区六本木7-22-2)/サントリー美術館(港区赤坂9-7-4) 「巨匠ピカソ - 愛と創造の軌跡/魂のポートレート」 10/4-12/14(会期... [続きを読む]

Tracked on 2008年12月17日 21:17

? 「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」展 from 弐代目・青い日記帳 
国立新美術館で開催中の 「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」展に行って来ました。 (「巨匠ピカソ 魂のポートレート」展の感想はこちらです) これまで... [続きを読む]

Tracked on 2008年12月22日 13:16
コメント

こんばんは。TBありがとうございます。
ガイドの内容はいかがでしたか?私も今更ながら借りれば良かったです。(展示が少し散漫な気もしましたので…。)

>貪欲な創作欲とそれを昇華する才能。奔放な愛情と強靭な身体。

仰る通りだと思います。
見る側はいつもタジタジです…。

Posted by はろるど at 2008年12月17日 21:19

はろるど様>
こんにちは。
ガイドがあると説明文を読まない分、画に集中できて良かったです。見所だけを紹介するので、構成も分かり易くなります。二回目の鑑賞にお勧めです。

それにしても、物凄い創作欲に満ちた作品群でした。

Posted by mizdesign at 2008年12月22日 06:56
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