2008年11月01日

●特別展「スリランカ-輝く島の美に出会う」@東京国立博物館表慶館

 東京国立博物館表慶館で開催中の特別展「スリランカ-輝く島の美に出会う」を観ました。

 スリランカって島だったんだ!と思うほど知識がないのですが、仏教という共通フォーマットを、日本とは違うディテールで造形した美術品群という捉え方で観て回りました。

 入口にあるムーンストーン(模造)が異国情緒を醸していて、期待感が高まります。入ってすぐにある仏足石(模造)は薬師寺で観たものと似ていて、フォーマットを共有していることを感じさせます。
 第1章 アヌラーダプラ時代[前3~後11世紀]。ヤクシニーのくの字に折れたポーズと抜群のプロポーションが官能的。金剛手菩薩立像の繊細な衣紋が美しい。観音菩薩立像の寛いだ姿勢と金ぴかな体が美しい。カーマとラティ立像の男女一体の造形が、マジンガーZの阿修羅男爵みたい。アプサラス像の豊穣なイメージ。アシュバイン騎馬像は西洋絵画に出てきそうな出来栄え。
 第2章 ボロンナルワ時代から諸王国時代[11~16世紀]。シヴァ・ナタラージャ像の馬蹄形のフレームの中で踊るシヴァ神の楽しげで躍動感にあふれる美しさ。踏まれてピースをしている邪鬼(?)も印象的。興福寺の天燈鬼を思い浮かびます。パールヴァティー立像の目は飛鳥仏を思い起こさせる杏仁型。ガネーシャ坐像とヴァーナハは象の神様がネズミに乗れるのかと素朴な疑問。
 第3章 キャンディ時代とそれ以降[16~20世紀]。如来立像は象牙製。なんと贅沢な。なぜか突然巨大な浣腸器が!なんじゃこりゃ?と思ったら象用と解説にあり。横には耳かき。この章は豪華な装飾を施した日用品の展示に重きが置かれています。その分、前2章との関連が希薄でかなり戸惑います。

 官能的で躍動的な仏様の姿は日本では見られないもので、とても魅力的です。その一方でユーモアあるお姿や衣紋の彫り込み等は日本との共通項に思えます。でも、浣腸器にすべて持っていかれました。スリランカは紅茶の国から象の国に印象が変わりました。

Posted by mizdesign at 2008年11月01日 19:55
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