2008年10月18日
●液晶絵画 STILL/MOTION@東京都写真美術館
東京都写真美術館で開催された「液晶絵画 STILL/MOTION」を観ました。
会場は地下1階と地上2階に分かれています。順路に沿って地下1階から。ミソスワフ・バウカ「BuleGasEyes」。ガスバーナーの炎を液晶で表現?チロチロと変化する青い輪。意外と面白い。進んだ左手に千住博「水の森」。ジュリアン・オピーの浮世絵シリーズの水墨画屏風バージョンのよう。静溢感が漂って美しい。と思ったら反対側にジュリアン・オピー。非常に単純化した絵柄と動きの使い方が上手い。動くという特性に頼りきらず、使いこなすところが他と一線を画している。ユラユラと揺れるペンダントとか。一つ手前にやなぎみわ「Fortunetelling」。女の子に老婆の仮面を被せた老女と少女がテーブルで向かい合ってカード占い。その奥で老女と少女が髪を掴みあっている。時間を少しずらした映像を複数の画面で同時に流して、時間の流れを強調。不気味で綺麗な世界から目が離せません。会場奥にはスローモーションと映像系が集めてあります。単体で観るとそれぞれに面白いのですが、まとめられるとちょっとつらい。
2階。ドミニク・レイマン「Yo Lo Vi」。少し遅れて登場する映像の中の自分。その前には祭壇?観客が無意識のうちに作品の中に取り込まれる面白さと怖さ。右手奥にビル・ヴィオラ「プールの反映」。水面に映ることを逆手に取ったファンタジー。館内に大きな音が響いていて少し興ざめ。左手奥にブライアン・イーノ「サーズデイ・アフタヌーン」。女性が恍惚の表情を浮かべながらバスタブでユラユラと揺れている?87分もあるので、2場面だけ観て退散。左手手前に森村泰昌「フェルメール研究」。なりきりシリーズフェルメール版。ビジュアルインパクトは強烈にあるものの、液晶部分がメイキングに見えてしまうのが微妙。館内に時おり響く騒音源となっているのも微妙。効果的なのは分かるのですが、他作品の鑑賞の妨げになっている気もする。
技術向上を背景に、液晶ディスプレイを「動きを取り込める絵画」と解釈する視点は興味をかきたてます。そして実際のところ、その解釈が一番印象に残る展示でした。
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