2008年10月21日
●森川如春庵の世界@三井記念美術館
三井記念美術館で開催中の「茶人のまなざし 森川如春庵の世界」を観ました。「16歳で光悦の茶碗を入手した」というエピソードに惹かれて、楽しみにしていました。
展示室1。本阿弥光悦「赤楽茶碗 銘 乙御前」。19歳で入手したというもう一つの光悦作茶碗。その女性的な形と色合いに見惚れてしまいます。
展示室2。本阿弥光悦「黒楽茶碗 銘 時雨」。如春庵の世界の要。昭和42年から昨年まで公開できなかったそうですが、先日の「対決展」から間を置かず再見。大型展が競い合う中、大人気。残念なのは「乙御前」と別室での展示なこと。やはりこの2点は並べて観たかったです。
展示室3(如庵)。狩野常信「稲之図」(模本)を掛け、「青磁笋花入」を置く。「如春庵の世界」がもっとも垣間見えるひと時。
展示室4。伝藤原公任「石山切「をちへゆき・・・・・」伊勢集断簡」。料紙の継ぎの美しさにうっとり。「乙御前」とともに用いられたという解説に、さもありなんと納得。ここでいう茶会は、碗と書画をセットで楽しむ優雅な遊びと理解しました。佐竹本三十六歌仙切「斎宮女御」。かの有名な佐竹本断簡でも一番人気を誇る名品。2年前に「小野小町」を観て以来の佐竹本なので、超面食い鑑賞。鈍翁所持品を特別出品だそうですが、現在は個人蔵となっています。三井家が個人で所持しているのか、さらに流転したのか。如春庵が引き当てた「柿本人麻呂」は現在出光美術館の所蔵。
展示室5。「志野茶碗 銘 卯花墻」が、展示スペースの片隅に登場。国宝をあんまりな扱い。今回の展示内容に対して、この会場は狭すぎると思います。
展示室7。バーナード・リーチ「森川如春庵画像」。仙人のような風貌に驚き、納得。
「乙御前」、「時雨」が登場する冒頭は期待通り。けれどもその後が意外と希薄。一巡して、えっ、これで終わり?という感じです。「生涯数千回の茶会を催した稀代の数寄者の大コレクションを観るぞ!」と意気揚々と来て、肩透かし気味。会場が手狭気味なのと、展示替えが多いことが原因なのでしょう。最近流行の大量展示替えは、印象が分断されるので苦手です。碗と書画の組合せが醸し出す茶会の醍醐味をもっと感じたかったです。
三井タワー1階「千疋屋総本店」で腹ごしらえ。牡蠣フライカレ-とマロンシェイク。マロンの強烈な甘さが良かったです。