2008年09月12日
●「アネット・メサジェ:聖と俗の使者たち」@森美術館
森美術館で開催中の「アネット・メサジェ:聖と俗の使者たち」を観ました。「MAMCウェルカムパーティー」に合わせて行ったので、イベント盛りだくさんのお祭り鑑賞会。
女優高橋恵子さんと森美術館アーティスティック・ディレクター逢坂恵理子さんによる対談ギャラリーツアー「アネット・メサジェが紡ぐ、生の多面性」。それほど広くないエントランス部分は人で埋まっています。女優ってすごいんだなあと感嘆。
高橋さんの気品のある話し方と、逢坂さんの的確な解説と共に大名行列が動きだします。《彼らと私たち、私たちと彼ら》。剥製にヌイグルミを被せ、鏡を吊るしたトンネル状の展示を抜けて《つながったり分かれたり》へ。中吊りになったパーツ群が操り人形のように動きます。バラバラ死体がゾンビのごとく動いているようです。片足を着いてブラブラと、重みを感じさせない動作。串刺しで回転させる丸焼きのイメージ。グロでも不気味でもない。それらとはちょっとずれた特別な感じを受けます。
《噂》。ブレードランナーのレプリカントから想を得たという作品。はりつけ。《残りもの(家族II)》。遠目にカラフルな小物、近づくと寄せ集めの断片。剥がれた皮、千切られた爪、鼻、尻尾。解体狂。
そして「カジノ」。大掛かりな装置で演じられるピノキオの物語。赤い海にのたうつくらげ、胎内のピノキオ。空から降りてくる黒いマスクが、大きく孕む皮膜を押さえる。逆廻りの時計が、人と物の狭間を暗示する。
グロでも不気味でもない。これはメサジェだ。その独創性の高い空間構成が、体験したことのない違和感として、五感を刺激するのだと思い至ります。
最後は、天井から張られた無数の赤い毛糸のインスタレーション。その造形はとても鋭利で格好良いです。空間を切り裂く無数のレーザービーム。本当は中に入って観る構想だったのが、作品保護の観点から中止になったと聞いてとても残念。でも確実に作品が痛むのでやむなし。
そしてお2人のまとめ。すごくこだわりのあるものを集める彼女の世界。女性の作家は現実を直視できる強さがある。体の部分を作品にしてしまう。男性の方がロマンチスト。
おっしゃる通り。とても見応えのある展示でした。
体にグサッとくる展示を観たあとは、「スカイアクエリアムII」で癒しのひと時。東京の夜景を背景に乱舞するニモたち。
屏風型水槽と金魚たち。その発想は素晴らしいが、ほとんど動かない金魚たちがちょっと不気味。
マドラウンジで一休み。ウェルカムパーティーといいつつドリンクサービスは全くなし。のどの渇きに耐えかねて一時避難。去年はワインが振舞われたので油断しました。スポンサーが変わって、ワインサービスはなくなったらしい。
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