2008年08月07日
●「觀海庵」落成記念コレクション展-まなざしはときをこえて@ハラミュージアムアーク
ハラミュージアムアークで開催中の「「觀海庵」落成記念コレクション展-まなざしはときをこえて」を観ました。ハラミュージアム初訪問。黒いボリュームが放射状に伸び、三角屋根のトップライトが載る外観が、緑のマウンドに映えます。
グリーン牧場内にある不思議な立地。対面のレストランで、ミュージアムを眺めながら腹ごしらえ。素晴らしく心地良い。
フェデリコ・エレーロのアートワークを横目に眺めながら、一路「觀海庵」へ。そのアプローチ上には横尾忠則さんのアートワークも展示してあって、建築と自然とアートのバランスが素晴らしい。
黒い回廊のその先が「觀海庵」。
入口を潜ると、アニッシュ・カプーアの漆黒に吸い込まれそうなオブジェが迎える。受付には杉本博司の三枚の写真。そして回廊沿い壁側にマークロコスの赤とヤンファーブルの青。反対側には丸山応挙「淀川両岸図巻」。両岸を両側から眺めるように描く独特の構成、豆粒のように細かな人人人。横長のガラスケースを両側(廊下側と展示室側)から眺められるように置く配慮。角を曲がって、森徹山「百鶴図屏風」。トップライトから取り込んだ光を柔らかに拡散させて、壁面を満たします。屏風の間にちょこんと置かれた小さなアクリルのオブジェは倉俣史朗。さらにそこに生けられたオブジェは。。。答えはその対角上にあります。さらに角を曲がって狩野永徳「虎図」。永徳?という気もしますが、目を細めて寝る虎が可愛い。その横の飾り棚には上段に須田悦弘「枇杷」、下段左に浪に「千鳥蒔絵堤重」、下段右にキーンホルツの壊れたレトロテレビ(?)のようなオブジェ。古と今、美と儚さ、技と素材。自在な選択と絶妙の構成。最後の角を曲がって、狩野探幽「龍虎図」。その左につつましく草間彌生「かぼちゃ」。水玉の棚におさまったお馴染みのかぼちゃが可愛らしい。草間さんの強烈な個性を巧みに抑えて可愛らしさを引き出すキュレーションは絶品。右に「軍配に鉄仙蒔絵刀筒」。さりげなく添えられた「鉄線」は須田悦弘。その完璧な調和は一体のものかと思うほど。展示室の中央にはイブクライン「青いスポンジ」。その陰影に富んだ深い青は、空間の要に相応しい。
本展の監修は設計者でもある磯崎新さん。その古今を自在に渡る構成は素晴らしく心地良いです。肩肘張らず、大げさなポーズもとらず、ただ流れるように美の相乗効果を楽しむ至福のひととき。さすがです。
現代美術の三つのギャラリーは、半屋外スペースをコアに三方に伸びます。その間からは、屋外作品が点在する緑の景色。ギャラリー内には名和晃平「PixCell [Zebra]」、「Pixcell-Bambi #2」、奈良美智「Eve of Destruction」、草間彌生「ミラールーム(かぼちゃ)」、束芋「真夜中の海」等など、見応えある現代アートがズラズラ並びます。ハラミュージアムとは違った形で展示されている作品も多々あり。心底、アートに溶け込むような気がします。
「觀海庵」の向こうには更なる増築計画があるそうです。どんな場所へと変化するのか、今から楽しみです。