2008年07月08日
●アートマラソン 奈良-京都-大阪
週末アートマラソンの記録です。移動がハードだったので、ツアーというよりマラソン。
まずは奈良国立博物館「国宝 法隆寺金堂展」へ。会期が後半に入って、いよいよ四天王勢揃いです。その厳しい顔つきと寸詰まりの胴体。素朴なボリュームの取り方に目が釘付け。伸び伸びとしたプロポーションの仏様も在るので、別に当時の造仏技術の制約でこういうバランスになったのではない。マンガにでてくる待機状態のロボットみたいだ(発進と同時に手足が伸びて格好良くなる)と思いつつ見入ってしまった。足元の邪鬼のバリエーションの見比べも興味深い。
左右に壁画、手前に四天王、奥に三尊像を抱く構成は、文句なしの金堂展。肌で感じる飛鳥の息吹に感動。前期から並べれば良いのでは?という疑問は残りますが、内容には満足。
京都に移動。夏、鴨川、納涼床!を片手に眺めて移動。
祇園祭の準備で活気づく八坂神社。40目前にして、前厄を祓ってもらおうと思い立ち来京。拝殿の中はガランとしていて、扇風機が所在なさげに回っていてのんびりした感じ。巫女さんに太鼓を叩いてもらって、神主さん(?)に祝詞を上げてもらって、お供物をいただいて。外にでると盆地独特のあっつい夏が広がる。京都らしいひと時を過ごしました。
四条通りを移動して何必現代美術館へ。村上華岳、山口薫、北大路魯山人を中核とするコレクションを展示するために作り込まれた箱。2階の奥まった暗室スペースに展示された陶器、3階の文と書が交互に並ぶ展示、5階のエレベーターを出て目に飛び込む青紅葉のある坪庭と空から射す光。そして地下1階に下りての魯山人の大物陶器群。どれも展示品への配慮が行き届いていて気持ち良い。コレクションのための美術館として素晴らしい出来。
そして大阪に移動して、国立国際美術館「塩田千春 精神の呼吸」展に滑り込みました。地下に降りていきなり赤いロープで靴を結んだ展示《DNAからの対話》。一つ一つにメモ書きされたストーリー、鮮やかな赤いロープ、そして半円錐形を形成する美しいシルエット。圧倒的に美しい。そして展示室へ。高い天井を活かした5着のドレス《皮膚からの記憶》。黒いロープを張り巡らせた結界(?)に置かれたベッド《眠りの間に》。その先に写真と映像。ホールに戻って、もう一つの展示作《トラウマ/日常》を観る。黒いロープで視覚化された立方体に封入された靴、服。常識ではありえない大きさ、空間の密度、手間に五感が刺激される。面白い!
移動中に看板を見かけて、graf buildingに寄り道。川沿いに面した好立地。奈良美智グッズをはじめ、かわいいグッズが目白押し。grafブランドの家具やインテリアのショールームもあってうらやましい。作り手として。
最後にサントリーミュージアム天保山で「ガレとジャポニスム」展を観ました。東京で見逃した展示に、ようやく追いつきました。浮世絵や北斎漫画に材を求める冒頭部は、日本美をそのまま異素材に移植するようでとても面白い。ティファニー製のトンボと杜若意匠のガラス瓶(?)は品があってキレイ。更なる美の極みを期待して階下へ。ややグロテスクな方向へシフトする展示は期待と違いました。トンボに焦点を当てるラストも、視覚的な分かり易さはあれど個人的にはピンと来ませんでした。