2008年02月19日
●白金-恵比寿-神楽坂-銀座
先週の土曜日は、現代アート巡り+飲み。
まずは先日オープンした白金高輪のギャラリービル。
最初にエレベーターで3階まで上がって山本現代「Dream of the Skull」へ。エレベーターを出るといきなり三点並ぶ巨大な顔。その迫力にタジタジ。
エレベーターとギャラリーが直結した素晴らしい演出。でも竪穴区画(遮煙、遮炎)は大丈夫か?
階段を降りて高橋コレクション白金「鴻池朋子 私の作品は他者のもの」へ。展示作品三点+作者によるテキスト。「オープンブック」。大きく開かれた本に、緻密に書き込まれたドローイング。昔の天動説をベースに、作者の内面が混ざり合ったような世界。地球断面に見立てた作品発生の図解はユニーク。「Knifer Life」。横長の大作。ナイフに上半身を覆われた人(?)。狼たちと宙に舞う無数のナイフ。そして立体。赤い紐が張り巡らされた中を、悠然と歩む全身鏡貼りの狼。床に敷き詰められた鏡破片に照明が反射して、壁、天井面に複雑な光を映し出します。レーザービームのように細く、鋭角に折れ曲がる赤い紐は無機的な空間に奥行きと変化を与えます。その美しさにうっとり。この作品と暮らしてみたい。大広間に直結して6帖の展示スペースを設けて本作を配置。大広間には大型液晶とソファ。電動の遮光スクリーンが閉じると一躍シアタールームに早変わり。。。展示スペースだけで自分の仕事スペースが埋まることに気づいて現実に帰りました。会場にあった大原美術館での展示図録と見比べると、床敷(木の実?)がなくなって赤い紐が加わり、別展示だった鏡の破片が床に敷き詰められています。会場に合わせて微調整をしているようです。こんなに充実したコレクションが無料で観られるなんて、東京はスゴイ。
いったん外へ出て児玉画廊へ。刺繍を使ったドローイング?ちょっとピンとこないので早々に退散。
次に恵比寿のMA2ギャラリーへ。設計は千葉学建築計画事務所。交差点の角に建つ黒い箱。大きな開口部から内部が垣間見えます。黒い外壁は鉄板。建物と塀が一体になったようなシンプルなボリュームに、大きく孔を穿って街に開いたように見えます。中では3人の作家さんの作品を展示中。吹抜空間に2階開口から光が射して、空間に変化を与えています。階段下の形をそのまま現した斜め天井に合わせて斜めに展示した鶴の群れの写真が印象的。2階に上がると、床面に盛られた塩の造形。窓際の白い盛り上がりが手前に来るにしたがって床面のグレーに溶け込む。そのグランデーションがミニチュアの波を思い起こさせます。シンプルな建物かと思ったら、意外と線が多く感じたのは何故だろう。空間のボリュームに対して多くのモノを詰め込んでいるからか?
そして高橋コレクション神楽坂へ。こちらは常設展。まずは会田誠「犬(雪月花のうち‘月’)」。包帯少女。日常の顔に包帯巻の手足。その先はあるのだろうか。痛々しい?虚無?不気味。山口晃「九相圖」「日光図、月光図」。後者は左右に並べた対の作品。黄色の輪郭線だけの日光と、ネガポジ反転のような月光。赤く光る目は続無残の輔でお馴染み。こんなタッチの作品もあるのだなと新発見。奥に小谷元彦。スズメを脅す目玉の立体版のような大きな渦巻きが三つ。真鍮の基部、そこに挿された羽。ダイナミックな作りは、写真よりもずっと良いです。西尾康之。巨大女性と街。ウルトラマンのように巨大化した女性が街を破壊するカタルシス?やっぱり高橋コレクションは面白い。
最後に銀座、博多昭和ホルモン食堂銀座店へ。昭和の歌謡曲が流れる懐かしい雰囲気の中、ヤカンビールを飲み、焼酎を飲み、焼肉を食べる、食べる、食べる。肴はアートの話題と窓の外の風景。最後の最後はカラオケで〆。ハシャギ過ぎと出張疲れで、翌日は何処にも出かけられず。でも、とても楽しい週末でした。
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mizdesign.com/mt/mt-tb.cgi/563
こんばんは。先日はありがとうございました。鴻池さんは本当に素晴らしかったですね。赤いロープがレーザービームのようと仰られるのに同感です。ガラスの反射と呼応して特異な空間を作っていました。
神楽坂の同コレクションも見応えありましたね。小谷さんは一推しの作家さんです。
白金からMG2まで歩けることは知りませんでした。次回は是非やってみようと思います。
>食べる、食べる。肴はアートの話題と窓の外の風景。
楽しかったですね。今度はもっと音楽についていけるように精進します!
はろるど様>
こんにちは。
先日はありがとうございました。
鴻池さんの作品は常設でも良い気がするのですが、ああいった作品が何点も倉庫に眠っているのでしょうね。展示スペースが増えて、これからが楽しみです。
白金-MA2は、高速道路沿いに歩けばすぐかと思ったのですが、迷って意外と時間ががかりました。
MA2ギャラリーの三人展、良かったですね。私は関根直子さんがお気に入りです。
白金から歩けるんですねえ。
あたたかくなったら試してみます。
ogawama様>
こんにちは。
僕は空山基さんの塩のミクロコスモスと、藤井保さんの場を読んだ写真展示に惹かれました。
土曜日限定ですが、白金-恵比寿は満足感あります。