2007年11月27日

●フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展@国立新美術館

 国立新美術館で開催中のフェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展を観ました。
 展示の要はいうまでもなくフェルメール「牛乳を注ぐ女」。体と腕と瓶で形作る揺るぎない三角形構図、室内から主照明を当てつつ窓から印象的な補助光を入れて作り出す神秘性すら感じさせる光と影の世界。そして瓶から流れ出す牛乳が静寂の中に作り出す動き。非常に美しいフェルメールの青。厳格で研ぎ澄まされた世界は正に名画。照明の加減で反射光がキラキラし過ぎるのが残念ですが、何度も列に並んで見返しました。週末の夕方は思ったほどの混雑もなく、並べば数分で絵の前に辿り着けて良かったです。できることなら複数枚のフェルメールを並べて観てみたいです。

 前後に来る風俗画と、黄金時代以降展示は、フェルメールとの関連が今一つ感じられずに、全部で三つの展示を観ているようでした。今回の展示を観る限りでは、フェルメールだけが光と構図に非常に厳格で突出していたように感じられますが、実際はどうだったのでしょうか。もっとフェルメールを観たくなりました。
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 その後はフェルメール・コミュのオフ会へ。主催はこちら。毎度毎度御世話になっております。40名を超える方が参加されて大盛況でした。知り合いの方も結構来られていて楽しいひと時でした。
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●第27回 つくばマラソン

 先週の日曜日に開催された第27回つくばマラソンを走りました。平坦なコースと快晴に恵まれた最高のコンディションの下、フルマラソン初参加でした。

 前半25kmまでは先日の手賀沼エコマラソン同様のペースで走っていけたのですが、その後は失速(というか足が上がらなくなり)、歩いては走るを繰り返してなんとかゴール。記録は4時間9分51秒でした。沿道の声援、給水、バナナやお汁粉が本当にありがたかったです。走り切れなかったのは残念ですが、4時間半を目標にしていたので記録的には満足です。準備が正直に出るスポーツなので、走りきる脚力をつけることが次のステップです。

 「手賀沼エコマラソンを走ろう→東京マラソンを走りたい」から始まったマラソン参加も、今回フルマラソンを走ったことでようやく一歩踏み出しました。次回こそ抽選に通りますように!

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2007年11月24日

●石井徹也-小さな展覧会@CB COLLECTION 六本木

 CB COLLECTION 六本木で開催された「石井徹也-小さな展覧会」を観ました。こちらで見かけて、これは観ねば!とチェックしていた展示です。最終日に滑り込みました。

 一枚目「面接」。顕微鏡に眼のついた面接官、本来のレンズ部はマスクのように見えます。日常的な構図の中に侵入する異物。どこかグロテスクで、しかし目を離せなく心に迫ってくる感じ。
 四枚目「無題」は墓石のベッドでウォークマンを聴く少年。ベッドの下には死体(?)。一見、ベッドの上で音楽を聴く日常に見えてその実。。。日常に侵入する非日常のさりげなさが最高に極まっています。
 六枚目「子孫」。手術室の中で、車-ワニ-恐竜-赤ちゃん-虚ろな目の医師と続く連鎖。意味ありげでな描画に観入ってしまいます。
 七枚目「回収」。バックライト付ディスプレイの回収。えっ、ディスプレイ!?なんかバラバラ死体にしか見えないんですが。。。
 十四枚目「囚人」。学校と一体化した(?)男の子。校庭には生徒達。もはや何が何やら。でも感覚的にはとてもリアル。
 とにかく強烈に心を掴まれるような迫力のある視点、構図、表現の連続に引き込まれました。普段はフタをしている現実に直面するような緊張感と、どこか漂うユーモア。

 会場は飯倉交差点に建つNOAビル1F。白井晟一の名作の中にあるので、一粒で2度美味しい立地です。
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●MAMCナイト@森美術館

 森美術館の会員向けイベント「MAMCナイト」に行きました。会員だけに展示を開放するイベントで、比較的少人数で展示を観られることと、これに合わせて特別なプログラムが組まれるのが魅力です。前回のコルビュジェ展の時は、館長の南條さんのヨーロッパアートフェア見聞記(スライドショー)と、フランソワ・モレシャンさんと南條さんの対談でした。シャンパンを飲みつつ講演を聴き、人気のない展示会場を回るとても贅沢な機会でした。

 今回の目玉は、「台風マシーン」を実際に体験できること。人工台風の風が吹く円筒ケースに入って、風に舞うお札と風船を体験する(というか風と一緒になってお札をばら撒く)。マンガのワンシーンのような舞台装置と、外で見ている人たちの視線を受けながらハッチャケル感じがとても楽しい。ほろ酔い気分で展示を観るのが好きなので、入口でウェルカムドリンクが振舞われるのも嬉しい。出展アーティストの方が何人か会場に来られていて、スタッフの方が積極的に対話を薦めているのも良い感じでした。一緒に回ったTさんYさんのバイタリティ溢れる行動に引っ張られて、佐藤雅彦+桐山孝司「計算の森」を体験したり、冨谷悦子さんの花鳥画(?)をじっくりと観たり、田中偉一郎「鳩命名」でカラスを探したり、逆さ金閣を改めてじっくりと観たりと一粒で何度も美味しい展示でした。

 東京シティビューではスカイ・イルミネーションを開催中。座ると色の変わるソファ、天井に吊った円形リング照明、窓の外に広がる夜景。これからの季節、主役はむしろこちらでしょう。展望台だけでも1,500円、美術館とセットでも1,500円。。。
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 展示を満喫した後は飲み屋へ。乃木坂新名物「のっけ寿司」。粘り気のある長芋のサラダも美味しい。TさんYさんどうもありがとうございました。
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2007年11月17日

●TKG Daikanyama

 代官山にオープンした小山登美夫ギャラリー代官山(TKG Daikanyama)は、街路に嵌め込まれたガラス箱のような場所です。以前はただのガランドウの箱でしたが、今日通りかかるとベンチを置いて本が並べてありました。それだけで外と中に親密な関係性が感じられます。
 「あっ奈良美智!」。展示作品に惹かれて中へ。中は透明アクリル板が波打つように配置されていて、部屋全体を見渡しつつも壁面に沿ってグルグル歩くように作られています。回遊性があって面白い。
 視線は通しつつも、適度に行動を抑制するしつらえ。街と建物が一体化する好例だと思います。
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2007年11月14日

●六本木クロッシング@森美術館

 打合せの後、通り抜けるだけのつもりだった六本木ヒルズ。でもポスターが妙に惹かれるものがあったので、つい寄ってしまいました。「六本木クロッシング2007:未来への脈動」展。
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 会場に入るとカラフルで大柄な作品がワッ!と並んでいます。でもどこかひねていて軽薄っぽくもあり、すごく「今っぽい」。この手の展示をするならこの場所と相性もバッチリ。すごく楽しい。
 平日の昼下がりにもかかわらず、場内はけっこうな人出。国際色も豊か。ビデオカメラで撮り始めるお客さんにチッと舌打ちして注意に赴く会場スタッフの方たちも含めてなんか遊園地のよう。そういえば展望台とセットの美術館でした。

 内原恭彦の写真は、その異様な情報量から中に引き込まれるような奥行を感じさせます。
 榎忠のボルトを使ったインスタレーションは、林立する塔のようで美しい。円環状の展示の中に入れるようになっており、中から見回すとそのミニチュアな世界に引き込まれるよう。さらに上から見下ろせる展望スペースもあり都市を俯瞰するような楽しさがあります。
 内山英明の写真は、都市の様々なシーンを切り取る瞬間のキレと大胆なトリミングでテンポ良く迫力満点で見せます。
 宇川直宏の台風マシーンは、台風を閉じ込めるという発想もさることながら、風船とお札が舞う風景も何やら意味ありげで目が離せません。
 中西信洋の時系列の変化順に捉え、重ねたドローイングは、時間が小さな変化の連続体ということを直感的に伝えます。
 来週のMAMCナイトも、行きたくなりました。

 日中の「東京シティビュー」。素晴らしい快晴、広がる眺望!
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 本当に良い天気のひと時でした。
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2007年11月05日

●飛雲閣@西本願寺

 桃山絵画を堪能した後は、西本願寺へ。ここには秀吉の邸宅「聚楽第」の移築と伝えられる国宝「飛雲閣」があります。今回は御一緒したTakさんが骨を折って下さって、なんと書院と飛雲閣を拝観する許可をいただきました。永徳、等伯と観て、桃山時代の遺構を体験する。ものすごく濃密な一日となりました。

 金碧装飾画がそのまま残り、対面所から南能舞台を望む白書院も素晴らしかったですが、ゾクゾクしたのは天正9年造が確定している北能舞台。この当時は狩野永徳が安土城で腕を振るっていた時期にあたり、永徳とこの能舞台は確実に同時代に存在していたことになります。正に歴史の生き証人。

 そして「飛雲閣」へ。一階全面に障子建具を回し、唐様と入母屋様の異なる破風を抱く棟。二階建具面には三十六歌仙が描かれた三層の楼閣。長く伸びる軒先が、日本家屋の大屋根を軽妙に見せる違和感。建具を開放すれば、全面開放となる1階。様式を自在に組み合わせて作り出された遊興の場は、まさしく桃山文化の空間。実物を目の当たりにする日が来るとは思いませんでした。少しだけ障子を開けて中を見せていただきましたが、綺麗に手入れされていて保存管理状態は良好。あの座敷に上がって遊びに興じる人々を思いました。
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 入口となる船着場。ここから入って、一層の座敷に上がったそうです。左は茶室。
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 国宝「唐門」。こちらは伏見城の遺構と伝えられています。黒地に金の金具、そして色鮮やかな彫刻。失われた桃山時代が、最高に色濃く蘇る一日でした。
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 京都行きの際して多大な骨を折って下さったTakさんに改めて感謝いたします。どうもありがとうございました!

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2007年11月03日

●長谷川等伯「桜楓図」@智積院

 「狩野永徳展」のコンセプトは「見比べる」。3年後に企画されている「長谷川等伯展」と見比べることで、本展の魅力はさらに深まること間違いなし。とはいえ3年も待つのはミーハーな我が身には長い。
 というわけで、長谷川等伯の金碧障壁画が展示されている智積院へ。京博から歩いてすぐの絶好の立地。

 まずは収蔵庫で長谷川等伯・久蔵父子作とされる「桜楓図」等をじっくりと鑑賞。永徳の「檜図屏風」のうねる巨木とのたうつ枝々を観ているので、等伯の巨幹を見せつつもその周囲を草花で飾るような明るい画風がとても興味深いです。両者の争いの果て、あの暗澹とした雰囲気を漂わせる絵が登場したのかと思うと、感慨もひとしお。
 その後、レプリカが展示されている大書院と庭園へ。
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 上座から、障壁画の並ぶ壁面を望む。片面に金地に雄渾な自然を描き、反対側には石庭。異なる人工の自然を対面させつつ、高天井のワンルーム空間。その空間を建具で自在に仕切る空間構成は贅沢の極み。
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 振り向けば庭園。「そうだ京都、行こう」な風景。
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