2007年08月22日

●若冲とその時代@千葉市美術館

 千葉県立美術館の次は千葉市美術館で「若冲とその時代」を観ました。モノレールで3駅と、意外と移動はスムーズ。

 所蔵品展の扱いなので、観覧料は200円(企画展とセットだと800円)という驚きの安さ。展示は南蘋派が京画壇に及ぼした影響を辿ることで、独自性を出しています。イントロダクションに伊藤若冲「鸚鵡図」を置いて本展へ。
 第1部 若冲の時代 みやこの画家たち応挙・芦雪・景文・蕭白。応挙、芦雪をはじめビッグネームが並びますが、南蘋派からの影響に焦点を当てているので、模写的な側面が強め。いわゆる彼ららしい作風に比べると地味めに思えます。でも長澤芦雪・曽道怡「花鳥蟲獣図巻」は見応えあります。曽道怡の描く竹の掠れ具合と、芦雪が描く愛らしい花鳥たちの競演は絶品。芦雪が道怡の元に何度も通い、酒を飲みつつ書き上げたというエピソードも豪胆な芦雪らしい。曾我蕭白「虎渓三笑図」も主役の三人を小さく描いて、風景の輪郭をサインペンのような描線で描くところが面白い。マンガみたい。
 第2部 若冲の時代のハイカラ趣味 南蘋派の画家たち。若冲に多大な影響を与えた南蘋派ですが、こんなに揃ってみるのは初めてです。摘水軒記念文化振興財団所蔵の絵画をこんなに揃って観るのも初めて。本拠の寺島文化会館は9月で閉館、その後はどうなるんでしょう?
 第3部 そして若冲 色に酔い墨に浸る。素晴らしく状態の良い「乗興舟」が見どころ。白と黒の反転と、船で川を下る様を巻物で再現する構成が上手い。そこに漂うノンビリとした風情も好きです。それと「雷神図」。人をくった構図はいかにも若冲らしい。
 会場内のソファにはピンクのファイルが置いてありますが、これは図録代わりの解説文集です。展示を観てからこれを読むと、理解が深まります。特にカラーチラシの文章が良いです。本展の意義、位置付けを述べた上で、そうはいっても詰まるところ、若冲が好きで企画したと結んで清々しい。章題のハートマークも、鳳凰の尾羽に舞う様が思い出されて若冲好きをアピールしています。
 すっかり千葉市美術館のリピーターになりましたが、所蔵品展でこれだけ魅せるのは流石だと思います。

 暑い一日の終わりは、中央公園でカキ氷。
chiba_20070815-2.jpg

Posted by mizdesign at 2007年08月22日 22:59
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Tracked on 2007年08月30日 14:10
コメント

県立美術館から市立美術館に流れると
そのギャップに唖然としてしまいます。
県は箱物行政にお金を使いすぎました。
柏にあるあそこをはじめに・・・・

六本木の泉屋博古館でも、この流れの
いい絵を見ることができます。
もう行かれましたか?

Posted by 一村雨 at 2007年08月23日 06:33

こんばんわ。
最後の若冲の部屋はではゆっくりと堪能出来てよかったです。
行ったのが暑い日だったのでかき氷食べてけばよかったなとちょっとだけ後悔です。

Posted by あおひー at 2007年08月23日 22:33

摘水軒記念文化振興財団のコレクションは貸し出しのみになるんでしょうか?
岡本秋暉が好きなので気になります。
蕭白の「虎渓三笑図」はアレは筆なんでしょうか?サインペンみたいで不思議でした

Posted by るる at 2007年08月24日 08:28

一村雨様>
こんばんは。
市立も充分バブルの塔だと思うのですが、決して潤沢とは思えない予算で上手く特色を打ち出していますね。
柏にある無駄に豪華な某「民」の施設を見ると、県美の現状は泣けてきます。機能もかぶってる気がするし。。。

 博屋館はこれからですが、評判が良いので楽しみです!

あおひー様>
こんばんは。
炎暑も一段落ですね。
行きはとても歩く気がしなかったので、モノレールで移動しました。

るる様>
こんばんは。
昨日学芸員の方に聞いたのですが、摘水軒コレクションは現状のまま各地の美術館に寄託した状態になるそうです。岡本秋暉はまだまだ公開していない絵があるそうです(全部で40数点)。また、秋暉に関しては平塚市美術館への寄託の方が多く、50数点だそうです。

Posted by mizdesign at 2007年08月27日 01:25
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