2007年08月14日
●千總コレクション「京の優雅~小袖と屏風」@五浦美術館
お盆休み一日目は、茨城県天心記念五浦美術館で開催中の千總コレクション「京の優雅~小袖と屏風」を観ました。こちらで円山応挙の絶筆「保津川図屏風」が展示中と知り、「夏だ、清涼だ、海だ!」というわけで出かけることに。保津川といえば鮎、ちょうど昨日京都綾部の天然鮎(残念ながら保津川産ではありません)をいただいたばかりで、タイミングは二重にバッチリ。
最寄駅は、柏と同じ常磐線沿線の大津港。さらにタクシーで10分ほど行くと、夏の青空!潮騒の音!
その先には太平洋!ここからは見えませんが、右手に地名にもなっている五つの浦が続きます。
そして展示へ。展示は京友禅の老舗「千總」が収集した小袖や友禅染の見本裂、下絵等着物関係と、屏風の二本立てです。着物関係は、本来着るものという意識が先立つことと、タイトルが長い(解説を読まないとその意味が分からない)こととで、アートとして観ることが苦手です。色彩や図柄、織りの特徴等を流し気味に観て、終盤の絵画部門へ。
まず「江戸風俗図屏風」で当時の様子を追体験し、長澤芦雪「花鳥図屏風」の墨絵のような木の枝と、しっかりと描かれた鳥、動物のコントラストに芦雪らしさを感じつつ江戸絵画の世界へ。その横には応挙の眼鏡絵、振り返ると左手に応挙の写生図巻(乙巻)。彼の修行時代の仕事、優れた写生力を如実に示します。そして展示室一杯に広がる「保津川図屏風」。彼の死の1月前に描かれたとされる絶筆。描き込みは少々荒い気もしますが、少し離れて観ると清流の流れる音が聞こえてきそうな描写力は迫力満点。波頭は小さく、白糸を張り巡らせるように清流を捉える手法は、北斎の超高速シャッターで波頭が砕ける一瞬をダイナミックに切り取る手法と好対照。左双には川を上る鮎も描かれていて、密かに満足度アップ。
森祖仙をはさんで岸派へ。岸竹堂「大津唐崎図屏風」の左双の唐崎の松は、広重の「近江八景 唐崎夜雨」を思い起こさせます。リアルな分、その枝ぶりの見事さが引き立ちます。さらに神坂雪佳「元禄舞図屏風」。楽しげに舞い踊る人々の列が弧を描いて画面右へとはみ出し、ついには上部へとフェードアウトしてゆきます。先日大和文華館で観た「輪舞図屏風」と「松浦屏風」を組み合わせたような面白さ。そして最後は再び岸竹堂「猛虎図屏風」。毛皮でなく実物の取材に基づく虎は、猫でも犬でもなく見事に虎。
会場がもう少し便利なところであればとも思いますが、おかげで落ち着いて観ることが出来ました。
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すみませんが、TBはひとつ消して下さい。芦雪のイタチとここで会うとは思ってもいなかったです。
保津川図は横が広い屏風ですから、見ごたえがありますね。右には瀑布、左には鮎を描き、水流を
平べったいV字にする構図に魅せられます。
横浜から3時間半もクルマを走らせた甲斐がありました。
Tak様>
こんにちは。
カラオケがあんなに盛り上がるとは(笑)。
次回を楽しみにしてます。
いづつや様>
こんにちは。
TBとコメントありがとうございます。
おかげさまで、五浦と保津川図屏風を満喫してきました。
雪佳も良かったです。
良いお盆休みでした。
遅ればせながら、仙台博物館でこの展覧会を観てきました。残念なことに、保津川屏風の展示期間が過ぎてました。
とら様>
こんばんは。
TBありがとうございます。
お盆休みの記憶がよみがえってきました。
全国巡回する展示も面白いですね。
保津川はまたのお楽しみですね。
鮎の季節に観ると味わいも格別でしょう。