2007年07月22日
●国立西洋美術館
上野の国立西洋美術館本館は、ル・コルビュジェが日本で唯一手がけた建物として有名です。設計はル・コルビュジェと彼の弟子である前川國男、坂倉準三、吉坂隆正、竣工は1959年。DETAIL JAPAN 2007年7月号はコルビュジェ特集号ですが、その中でヨコミゾマコトさんがこの建物について書かれています。わずか4ページのテキストですが、トップライトと光の採り入れ方の変遷を主軸に、様々なエピソードを散りばめつつ「不安定な正方形」という言葉で締める構成は詩的かつ論理的で面白いです。
というわけで西美へ。三角形のトップライトから自然光が注ぐ中央部吹抜。梁や壁面に付いた照明が、コンクリートと自然光の劇的な関係性を妨げて残念。いかにも後付っぽい。
ヨコミゾさんが書くところの「6x6スパンの構造と、中2階に浮いたように卍型配置された照明ギャラリーとが相互に貫入することで、内部空間に独特の透明感と流動感がもたらされている」展示空間。中2階は現在立入禁止。美術館の方に聞いたところ、以前は小品の展示に使っていたが、バリアフリーの兼ね合いや光熱の調節の都合上閉鎖とのこと。立体的な動線が使えないのは、空間体験としてはもったいない。美術品の保護、良好な鑑賞条件の必要性は分かるものの残念。
ガラスの中の階段。ガラスで竪穴区画しているのでしょうが、階段がガラスの展示ケースに納められているよう。西洋美術館自体がコルビュジェ建築という遺跡の動態使用に見えて、世界文化遺産への登録を先取りしてる?
もうじき設備改修に入る新館。設計は前川國男、1979年竣工。天井の特徴的なトップライトは光熱の都合上閉鎖中。今回の改修で改善されるか?
新館から中庭越しに本館を望む。基本的に眺めるだけ。機能的には日本庭園に近い?
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こんばんは。
西美の中二階はやはり展示スペースだったのですか。階段が殆どトマソンになっていますが、一度で良いから中をのぞいてみたいですね。いつも気になっています。
>新館から中庭越しに本館を望む。基本的に眺めるだけ
ここは何故入れてくれないのでしょうね。
確かに広くもないですし、少し暗い雰囲気さえありますが、見るだけと言うのが何とも勿体なくて…。
はろるど様>
こんばんは。
中2階への階段は確かにトマソンですね。日照と熱が美術品に及ぼす影響と安全性を考えれば、不特定多数の出入りする建物としてマズイのも分かりますが、機会を限定してでも公開して欲しいものです。
中庭は動線管理の都合上出入りできないんですかね。
コレクションは折り紙つきなので、もう少しサービス精神が欲しいですね。