2007年07月18日
●山種コレクション名品選 後期
山種美術館で開催された「山種コレクション名品選 後期」を観ました。近代日本画にはそれほど興味がなかったのですが、辻惟雄著「日本美術の歴史」を読んで以降、体系立てて美術を観ることにはまっています。日本画で有名な山種美術館を訪れるのも、今回が初めて。
入館してすぐの福田平八郎「筍」が目を惹きます。黒い筒にちょっぴり覗く緑の芽、淡い背景描写。対象の捉え方が独特で、やはり面白い。上村松園「牡丹雪」の大胆な余白のとり方、真っ白な雪と傘裏の対比、女性描写も美しい。しかしなんといっても速水御舟「炎舞」。展示室一番奥に鎮座し、スポットライトに浮かび上がるヌラヌラとした炎の揺らぎと、舞う蛾の怪しげで儚い美しさ。複数の御舟の絵画が並ぶ本展の中でも、明らかに異質に思える怪作。思っていたよりも小さくのが意外でした。
館内は天井が低く、展示スペースも手狭でいささか雑然とした印象を受けます。まるでデパートの催事場のよう。名品が並ぶ展示内容とのギャップに少し戸惑います。立地は千鳥ヶ淵のすぐ近く。週末であたりは閑散としていますが、館内はけっこうな人の入り。固定ファンの方たちが多い印象を受けました。
こちらは菱田春草「落葉」を観に行った松岡美術館。コレクションを見せるための器として、なかなかの完成度。
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こんにちは。
京都で福田平八郎を観て来たので
「筍」スルーせずにすみました。
一見なんでもないようでありながら
背景も含めかなり計算され描かれていましたね。
山種さんあれでスペースや照明がよければ
文句ないのですけど・・・
今回は良い内容で楽しめました。TBしました。
以前、証券会社のビルの中にあった時よりはマシになりましたが・・・。
Tak様>
こんばんは。
「筍」を見た瞬間、「福田平八郎展」のバリエーションに富んだ内容が思い浮かびました。あの時は晩年の衰えに気が行きましたが、少し時間を置いた今は、豊かなイメージの世界を泳ぐように生きる様が印象的です。シンプルに見えて雄弁に感じる二本の筍。上手いです。
とら様>
こんばんは。
今回初めて行きましたが、内容は文句なしですね。立地も良いし、人の入りもまずまず。惜しむらくは。。。
ちょっとびっくりでした。
山種も通い始めると、お気に入りの空間に
なります。
いつの間にか、私も固定ファンになってしまいました。
東京近代美術館、工芸館、山種、小川美術館とステキなアートの散歩道です。
一村雨様>
こんばんは。
近美は常設、企画とも充実してますね。
小川美術館も行ってみたい所です。
山種もコレクションは言うことなし。
おっしゃるとおり、このあたりも結構充実してますね。
学生の頃はランニングコースか、古書街への通り道でしたが、今ではアートの散歩道。なんか面白いです。
こんにちは
松岡の建物は私も好きです。
ロビーと展示室の関係や
大きなガラス窓の使い方が何とも云えない開放感です。
松岡の日本画コレクションは中々楽しませてくれますよね
ヴィクトリア朝絵画が展示されているのですね!
是非行かねば!!
(こっそり、mizさんの写真ファンなのです。緑のグラデーション良いですね)
るる様>
こんにちは。
松岡美術館はオーソドックスな美術館らしい美術館ですね。
千鳥ヶ淵のどんよりとした緑は、桜の頃の派手さとの対比もあってか、妙に印象に残りました。