2007年07月08日
●国立ロシア美術館展
東京都美術館で開催中の「国立ロシア美術館展 ロシア絵画の神髄」を観ました。ロシア美術は作家名すら思い浮かばないほど未知なのですが、実際には全編見どころと思える、非常に充実した内容に圧倒されました。
第2章「ロマン主義の時代」。カルル・ブリュローフ「水浴のバテシバ」、「ウリヤナ、スミルノワの肖像」と美しい絵が並んで、華々しい時代の幕が上がります。その先のファデイ・ゴレツキ「復活祭の挨拶のキス」でロマンに酔い、突き当たりのマクシム・ヴォロビヨフ「イサク大聖堂と青銅の騎士像」の晴天の逆光の下、堂々たる建物と騎士像の描写に魅入ります。右に折れて吹抜階段のホールへ。イヴァン・アイヴァゾフスキー「アイヤ岬の嵐」の暗く底の見えない荒波と、透明感溢れる波頭のコントラスト、嵐の中を水面すれすれに飛ぶ2羽のカモメの動の中の静。非常に劇的で荒々しく、そして神々しくもある一瞬の描写は圧巻。
第3章「リアリズムの時代」。グレゴリー・ミャソエドフ「結婚の祝福-地主の家にて」の農村の祝い事の景色の中、白いドレスを着た女性の美しさ。アンドレイ・ポポフ「村の朝」の鏡のような水辺と、清明な大気の表現。そして突き当りにはイリヤ・レーピン「ニコライ2世の肖像」。手を組み、フロックコートを着て立つ皇帝の、威厳と自然なポーズが同居する迫力ある姿。魅力的な作品が次から次へと登場して観ている方もテンションが上がります。左の折れると、「何という広がりだ!」の激流に足を飲まれつつ楽しげに手を広げる男女の不思議な光景。既成のアカデミズムを洗い流し、新しい時代の到来を祝福しているのでしょうか。階を上がると、ヘンリク・シェミラツキ「マルタとマリアの家のキリスト」の石廊の木陰で語らうキリストの大画面が登場して目を奪われます。
第4章「転換期の時代」。アンドレイ・リャブシキン「教会」の白いマッスのボリュームの清新さ。そしてボリス・クストージエフ「マースレニッツァ(ロシアの謝肉祭)」の彩り豊かな空と雪のコントラストで幕。
絵画を通して伝わる、パワフルな時代の変遷こそが、展覧会の醍醐味。満喫しました。
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おばんです。
昨日(昨夜)はお疲れ様でした。
ちゃんと家まで帰れました?
さて、ロシア。
「オソルベシ」でしたでしょ。
圧倒的な大迫力。
国が大きいと絵もああなるのかと。
Tak様>
こんにちは。
先日はありがとうございました。
気がつけば6時間近いロング飲み会でしたね。ビックリです(笑)。
翌日、パルマ展も観てきました。
ロシア、金刀比羅、パルマと見応えある企画展がぶつかり合う上野はすごいですね。
六本木に人が流れて見易いのもアートファンにとっては嬉しい限り。
興行側は大変でしょうが。
実力派の美術展でしたね。
エンジョイされたようで何よりでした。
私は初日に行きましたが、今でも
アイヴァゾフスキーの画の波が
目に浮かんできます。
こんばんは。これは評価されるべき展覧会ですね。
いつもは身動きの取れない吹き抜け空間も、
今回ばかりはアイヴァゾフスキーでじっくり楽しむことが出来ました。
>激流に足を飲まれつつ楽しげに手を広げる男女の不思議な光景
何だか変な絵でしたよね(笑)ヘタウマ系?なんて思ってしまいました…。
とら様>
こんばんは。
絵画の力を感じる展示でした。
やはり展覧会は適度な人の入りで観るべきですね。
はろるど様>
こんばんは。
画家の名前を知らないので、かえって画に集中できて良かったです。
細かいところを知らなくても、感じるものがありますね。