2007年07月02日

●ル・コルビュジェ展 建築とアート、その創造の軌跡

 森美術館で開催中の「ル・コルビュジェ展 建築とアート、その創造の軌跡」を観ました。生誕120周年、サン・ピエール教会の完成、作品の数々の世界遺産登録への動き。時宜を得て、彼の建築と絵画・彫刻を同列に並べてその本質に迫ろうという試みです。

 セクション1:「アートを生きる」。コルビュジェの絵画・彫刻を並べ、その奥にパリのアトリエの再現模型が現れます。「暖炉」に見られる「白い箱」から、「白い時代」の住宅シリーズへとつなげる構成。理屈は分かっても、直感的に理解するのはちょっと難しい。再現模型は良く出来ていて、特にアトリエ後方の机周りが良いです。この空間スケールが、コルビュジェの好んだ身体感覚かと追体験に浸れます。ガラスブロック越しに射す自然光の再現もなかなか。アトリエに並ぶ絵画がガラス越しで、雰囲気を削がれるのが残念。
 セクション2:「住むための機械」。シャルロット・ペリアンの参加と共に始まるコルビュジェの黄金期。家具、自動車、住宅。オリジナルのドローイングと模型による展示で、20世紀建築の巨匠「ル・コルビュジェ」の世界を満喫。私の経験と知識が増えたせいか、学生の頃よりも今見る方がずっと魅力的に思えます。
 セクション4(?)の一角にある映像コーナー。「暖炉」から「白い住宅」へと変形し、テーマ毎に内部を見せてゆく構成と、再現CGの素晴らしい映像。それをコルビュジェデザインの椅子コレクションに腰掛けて楽しむ仕掛け。今回はLC2に座ったので、次回はLC4に座ってみよう。
 セクション5:「集まって住む」。ユニテ・ダビタシオンの住戸の再現模型。やはり実寸で空間を体験できることは、とてもありがたいです。いつか実体験をしたい。
 セクション8:「空間の奇跡」。フェルミニのサン・ピエール教会が目新しい。
 セクション9:「多様な世界へ」。カーペンターセンターと西洋美術館は行ったけれども、インドは未訪。とりあえず西美のパルマ展に行こう。
 セクション10:「海の回帰へ」。カップマルタンの小屋の再現模型。これも良い出来。小さいながらとても豊かな空間。壁としての絵画。海を映し込む、鏡貼りの窓。一度の数名しか入れないので行列ができ、ゆっくりと出来ないのが残念。

 再現模型と、ドローイングと模型による建築展として、充実した内容だと思います。絵画・彫刻と建築という点では、その相互関係を直感的に捉えることができず、2つの展示が分断されつつ展示されている印象を受けました。レクチャーシリーズを計4回聴く予定なので、時間をかけて理解しようと思います。

 東京シティビューから見下ろすテレビ朝日。空から見ても端正な顔つき。設計は今回のレクチャーに出演される槇文彦さん。
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Posted by mizdesign at 2007年07月02日 00:12
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