2007年05月14日
●若冲展 釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会 その1
京都行きの理由は、相国寺承天閣美術館で開催される「若冲展 釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会」を観ること。昨年の三の丸尚蔵館「花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>」と、東京国立博物館「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」を合わせて10回通った身としては、「動植綵絵」を一堂に会して観られる今回の企画は千載一遇の好機です。
運良く先行プレビューに参加できることになり、期待感は高まるばかり。いつも御世話になっている「弐代目・青い日記帳」のTakさんも御夫婦で参加されるとのことで、それならばと「はろるど・わーど」のはろるどさんもお誘いして、お花見カルテットで京都へと繰り出すことに。気分は大人の遠足です。
相国寺境内にある伊藤若冲のお墓にお参りして、いざ承天閣へ。
講堂で広報の方からお話を伺った上で、第二展示室へ移動。扉をくぐると、そこには「動植綵絵」と「釈迦三尊像」全33幅が!三尊像部分だけが折れ上がり、下辺を揃えたショーウィンドウ。測ったようにピッタリと収まる空間と絵画の一致。あの細密にして華麗な画面が壁と化し、全体で一つの空間を構成する驚き。しばらく言葉が出ないくらいの感動です。単体で観ても素晴らしい絵ですが、全体として観ることでその仏画としての性格が明確になります。
学芸員の村田さんから今回の展示について伺いました。絵を観るのに夢中でうろ覚えですが、印象に残った点を箇条書きします。
・展示室は「動植綵絵」を念頭に計画されており、今回の里帰りは悲願の実現。
・今回の展示では、若冲の居士としての側面から読み解いている。
・「動植綵絵」の配置順で資料から確認できたのは、「釈迦三尊像」左右の「老松白凰図」と「老松孔雀図」のみ。後は推測。
・その左右の絵は、中国における花の格付け(?)に習い、左に「牡丹小禽図」、右に「芍薬群蝶図」と推測。
・若冲には「多数の中の違」という意識があり、それが「薔薇小禽図」の一輪だけ奥を向く白薔薇(上から4番目)や「群鶏図」の一羽だけ正面を向く鶏といったところに現れているのではないか。
・「群魚図(蛸)」は単に好奇心で描いた絵ではなく、蛸薬師のエピソードに親の供養の念を込めたのではないか。
村田さんの解説はとても明瞭で興味深く、なにより若冲への熱意に溢れています。居士若冲の視点を掘り下げることで、「動植綵絵」の見方が深まりました。
展示左列最後尾は「群魚図(鯛)」、右列は「群魚図(蛸)」。個人的には「紅葉小禽図」で季節が変わり、「菊花流水図」で時空を超えるのがフィナーレと思い込んでいるので、ムムムと唸ってしまいました。
こういった順番について思いを巡らせるのも、今回の展示の醍醐味だと思います。若冲自身も当初から全体構想を固めていたわけではないそうですし、想像の余白を楽しめます。
この時点で、期待の遥か上を行っていますが、展示は第一展示室へと続きます。(今回は解説の都合上、観る順が逆でした。)
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こんにちわ。
会場の様子を見てるだけでうずうずしてきますね。
期間が短いのでなんとかさくっと行ってこようと思います。
こんばんは。
記事を拝見しつつ、一緒に旅させていただいています。
いいですね〜〜〜ほんとに。
ためいきでますよ・・・。
足跡残しに伺いました(笑)
柏から来られてたんですかぁ。ご苦労様です。
僕にとっての初「動植綵絵」があの場でしたので、ホント感動でした。
若冲自体も去年の東京の若冲と江戸絵画展以来2回目だったのですが、愛知にもう1回観に行こうかなと今は思ってます。相国寺も行きたいけど、人凄いですもんね。
プレビュー時の感覚はもう味わえないんだろうなぁ。
そう考えると、何物にも変えがたい時間だったんですね。
そこに居れて良かったです。
初めまして、先行プレヴューでご一緒させて頂いた者です。Takさんやはろるどさんのサイト前からちょくちょく拝見させて頂いてます。皆さんご一緒だったのですね。あの機会は本当に貴重でした。今も夢見心地です。私も記事をアップしましたので勝手ながらTBさせて頂きます。
あおひー様>
こんにちは。
さくっと「そうだ京都に行こう」ですよ!
京都近美の「福田平八郎展」も良いです。
満足度500%くらいいきます。ほんとに。
tsukinoha様>
こんにちは。
もう言葉にならないくらいの感動です。
「動植綵絵」が日本に残って本当に良かったです。
DOG様>
初めまして。
先日はお疲れ様でした。
再度京都に行ってもあの環境で観られることはないと思うと、本当にありがたい機会でした。
金刀比羅宮が東京にやってくるので、そちらも楽しみです。
kurohani様>
初めまして。
プレビュー良かったですね。
もう満足満足です。
どうぞよろしくお願いします。
こんばんは。蛸薬師のエピソードは面白かったですよね。
図録の解説も今、読んでいる最中ですが、
「居士の若冲」の解釈も、
動植綵絵にまた新たな光を当てることになるのかなと思います。
作品の並びは永遠の謎かもしれませんね。
家でハガキを並べ替えながら色々やっています…。
はろるど様>
こんばんは。
居士の若冲は新鮮な驚きでしたが、考えてみればこちらが本流で、奇想は傍流ですね。
動植綵絵の見方が大きく変わりました。
絵葉書セット33幅揃いは、並び方を考える上でも便利ですね。買っておいて良かったです。