2007年04月04日

●志野と織部

 出光美術館で開催中の「志野と織部 -風流なるうつわ」展を鑑賞しました。
 豪華絢爛の極み、桃山時代。その空前絶後の繁栄は、その短命さも含めて、今なお観る者を魅了して止みません。その時代の華を担う、志野と織部の焼き物がズラリと並ぶ名宝展。茶道の知識はなくとも、歴史ファンには必見の展示です。

 展示室に入ると、右に「桃山陶」、左に「志野」、中央に志野茶碗の島展示が広がります。あえてろくろを使わず、土素材の魅力を引き出す桃山陶。日本独自の「雪のように白い陶器」を体現した志野茶碗。年始に三井記念美術館で観た国宝「志野茶碗 銘 卯花墻」も今回は島展示の一角に並び、実物を観ることでしか伝わらない微細な変化に富んだ造形を伝えます。

 奥に進むと、「黒織部」。焼成中の釜から引出し黒く変色させ、大胆にヘラで歪ませる織部黒、さらに大胆な文様を加えて、「ついに黒織部が登場する」。古美術とは思えない熱い解説文と、白から黒への変化は、展示構成としても大胆かつ鮮やかで、出光美術館の底知れない実力に魅了されます。

 展示の後半は、器に描かれた文様意匠に焦点を当てます。黒織部に用いられる「吊し文」の謎解きも興味深いですが、個人的には「橋」が面白いです。境界をつなぐ装置であり、遊興の場であり、円弧を描く造形でもある存在を、扇絵、屏風絵、陶磁器に描かれた様を並べつつ紐解きます。

 ロビーで一休み。見回せば、ルオーとムンクが並び、茶室「朝夕菴」が面しています。名品を並べるだけに止まらず、しっかりと全体を構成し、細やかに検証を積み重ねる企画力は驚異的です。
tokyo_20070321-1.jpg

Posted by mizdesign at 2007年04月04日 20:03
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コメント

はじめまして。Takさんの所から飛んで参りました。
ご覧になっている展覧会のコメントに引かれました。
過去のページをこれから拝見させて頂きます。
織部、かっこよかったですね。志野のたおやかなところも素敵でしたし、柳水車図の屏風も素晴らしかったです。
 

Posted by あべまつ at 2007年04月04日 22:16

うんうん。
この展覧会は秀逸でした。
今一度行きたい、行きます!

Posted by Tak at 2007年04月04日 22:51

あべまつ様>
初めまして!
焼き物の名宝展を観に行って、白と黒の対比にしびれるとは思いませんでした。
どうぞよろしくお願いします。

Tak様>
こんばんは。
予想の遥か上を行く、出光の企画力はすごいですね。
見応えあるし、空いてるし言うことなしです。

Posted by mizdesign at 2007年04月05日 22:32

こんにちは。
コメント&TBありがとうございました。
私が出かけた日(先週末)もこんな夕方でした^^。
短命・・・そうですよね。この時代のこの時期。
過去に手捻りの魅力にはまりましたが
下手だからっていうのはもちろん、どうしたってゆがんでしまうんです。
そこに美を求めたなんて、やはりすごい発見だったんだな・・・などと思ってみたり。

Posted by tsukinoha at 2007年04月06日 05:50

tsukonoha様>
こんにちは。
歪みを「美」と言い切ったのはやっぱり発明ですよね。
島展示された志野茶碗の、見る角度によって微妙に変化する形が良かったです。
あれは、実物を観ることでしか分からない面白さですね。

Posted by mizdesign at 2007年04月07日 09:30
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