2007年04月03日
●グレゴリー・コルベール 「Ashes and Snow」
桜の季節の花冷えの日に、お台場で開催中のグレゴリー・コルベール「Ashe and Snow」展を観ました。資材をコンテナに積んで世界中を巡回するノマディック美術館という場所、人と動物の詩的な交流を綴る写真と映像。これを観るのは少し肌寒い日が良いと思っていたので、この日にしました。
展示は写真と映像と音楽と建築からなります。会場に入ると紙管の柱が神殿の如く立ち並び、デッキ材を敷き込んだ廊下が伸び、その両端に石が敷き詰められて写真が並び、奥に映像が流れています。目が慣れると、両壁の奥にコンテナを市松模様に組んだ壁が、その背景として見えます。静かに音楽が流れる中、写真を左右交互に観ながら進んでゆきます。写真は特殊な和紙に印刷され、スポット照明にぴったりと照らされ、高い天井から吊られてゆらりゆらりと動きます。奥の映像では、それまでの静止した世界が動き出します。手を優雅に動かし、瞳を開き、唇で何かを囁く。水面に横たわる女性がオフェーリアのようで特に印象的です。
右に折れて横の棟に移動すると、大スクリーンに映像が映されています。紙管を輪切りにして積層合板で蓋をした、切り株のような椅子もこの展示らしい。少年たちを乗せて川を行く船、ゆっくりと立ち上がる象。美しくファンタジックな実写の世界が始まります。水中を舞うように泳ぐ人、砂漠で静止する豹と人と、印象的なシーンが続きます。思う以上に長く(実は60分ある)、底冷えして少々寒かった。ここだけナレーションがあります。
さらに隣の棟には、初めと同じく映像と写真が並びます。神殿のような場所で羽(?)を手に舞い、鳥と交差する映像が印象的。一通り観て2時間半かかりましたが、写真、映像、建物、音楽が一体になった内容は素晴らしいです。入場料1,900円は少々高いですが、現代アートが好きな人には価値ありだと思います。ただ、ポストカード集4,200円、カタログ的な写真集16,800円、豪華写真集3,500,000円という価格設定は疑問。ロレックス・インスティテュートの支援を受けているので、写真集もロレックス価格?
コンテナを市松模様のように組んだ壁、スラリと伸びる紙管柱。無機的かと思いきや、展示とマッチしたとても魅力的な空間に仕上がっています。建築家坂茂さんが、移動する建築の新しい世界を切り開きます。
コンテナ積みの美術館と大観覧車。景色もアートっぽい?
照明が効果的なコンテナの夜景。展示を観た後だと、厳かな雰囲気すら感じます。
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? グレゴリー・コルベール「Ashes and Snow」 from 弐代目・青い日記帳
お台場に登場した移動式仮設美術館・ノマディック美術館で開催中の
グレゴリー・コルベール「Ashes and Snow」展に行って来ました。
お台... [続きを読む]
こんばんは。
ロレックスさん、カードやカタログまでロレックス価格に設定しなくてもいいですよね。。。
Tak様>
こんばんは。
どうせなら、図録の費用まで含めて支援して欲しかったですね。
図録等は全然売れてませんでした。
とても魅力的な内容でしたが、記憶からあっさり消えそう。。。