2007年02月22日
●日本美術が笑う
森美術館で開催中の「日本美術が笑う」展を鑑賞しました。年の初めに相応しく、「笑い」をテーマに日本美術を通観する視点が面白いです。
「1.土の中から~笑いのアーケオロジー」。展示は埴輪が円形に並んで始まります。個々をじっくりと眺めるにはとても見難いですが、展示を観ているうちに向こうの人の顔を覗き込んでしまうような偶然も含めて「笑い」と割り切れば、これはアリなんだなと思います。
「2. 意味深な笑み」。ちょっと不気味な笑いの世界が並びます。円山応挙「三美人図」は三者三様の描き分けがさすが応挙。でも少々不気味。甲斐庄楠音「横櫛」は着物を用いた立体コラージュのような構成が面白い。が、薄ら笑いを浮かべる女性の表情が怖い。
「3. 笑いのシーン」。河鍋暁斎「放屁合戦絵巻」の液晶モニター二面を使った作品紹介が良く出来ていました。映像だけで満腹。英一蝶「舞楽図屏風(裏絵・唐獅子図)」は、裏に回りこんで観る展示方法が親切でした。
「4. いきものへの視線」。縦に長い構図に動物をユニークに切り取った絵が並びます。伊藤若冲「白象図」はお得意の白象を正面から捉えてギュウーッと詰め込んでいます。長沢芦雪「牛図」は対照的に黒牛をちょっと上方からキュッと締める感じ。神坂雪佳「金魚玉図」は金魚を正面から捉えてユラユラ揺れる日輪のように描画。どれもこれも個性的で面白い。でも一点挙げるなら、南天棒「雲水托鉢図」。裏と表が繋がるような構図に笑みが浮かびます。
「5. 神仏が笑う~江戸の庶民信仰」。最後も円形展示。円空・木喰の仏像を表裏じっくりと眺めるための配慮かと思ったら、裏面はロープが張ってあって回れず。円形の展示台で始まり、円形の鑑賞スペースで終わる、「図と地」反転の仕掛け?
常に複数の進路を示す動線計画、白と黒で構成された展示台と通路、部分的に抜けを作って鑑賞の合間に観客が視界に入る仕掛け、アルミ引き抜き材とアクリルパネルを用いた展示ケース。随分と建築的な仕掛けだと思ったら、会場構成は建築家の千葉学さんが担当されたそうです。東京シティビューとのセット販売といい、付加価値作りに熱心な森ビルらしい工夫だと思いました。
国立新美術館も楽しみです。
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? 「日本美術が笑う展」 from 弐代目・青い日記帳
森美術館で開催中の
「日本美術が笑う」展 縄文から20世紀初頭まで 若冲、白隠、円空、劉生ーに
行って来ました。
『奇想の系譜』の辻惟雄先生か... [続きを読む]
この展覧会、大いに楽しめました。
かなり展示が絵がありますので、
4月になったら、また行くつもりです。
甲斐庄楠音を見たかったので、念願がかないました。
森美術館には何度も行ってるので、東京シティビューとのセット販売はやめて、その分、
入場料金を安くしてくれればなぁと思っているのです~
一村雨様>
こんばんは。
ここの展示は、前回の「はつゆめ」といい、良いところを突いてきます。
割高感が玉に傷ですね
アートトライアングル共通パスポートとか発行してくれると良いのになあと思います。
こんにちは。
去年からここの年パス持ってます。
先日も更新してきました。
六本木ちょいと行きにくいのですが
この展覧会既に。。。回も。。。。
展示替えし21日からもみものです。
Tak様>
こんばんは。
年パスですか!それでアカデミーヒルズの記事があったんですね。
六本木はこの先チョコチョコ行くことになるんですが、10,500円か。うーん。。。