2006年11月05日

●江戸の誘惑

 東京江戸博物館で開催中の「江戸の誘惑」展を鑑賞しました。ボストン美術館から里帰りした、驚くほど保存状態の良い肉筆浮世絵の色と艶に魅了されました。

 全四章からなりますが、「第二章 浮世の華」が抜群に良かったです。松野親信「立姿遊女図」の愛らしい顔立ち、歌川豊国「芸妓と仲居」の姉さん顔で手紙を読み耽る芸妓の仕草と半透明に透ける髪飾りの描写、春画の細密な描画、葛飾北斎「鳳凰図屏風」の精気に溢れる極彩色の描画(蝋燭灯りの下、こんなのが枕元にうずくまっていたら。。。)、そして菱川師宣「芝居町・遊里図屏風」の活き活きとした江戸二大悪所の大パノラマ。江戸市中を練り歩き、美人に見惚れ、夜の時間もソフトに見せて。江戸時代に紛れ込んだかと錯覚するほどの臨場感は驚異的。

 「第一章 江戸の四季」も良いです。建物の内外の連続性、変化に富む四季を描写する遊興図の数々と、多彩な側面を見せる北斎。「鏡面美人図」では鏡に映る姿を描写する鋭い観察眼と勢いある美しい描線、「大原女図」ではこんな筆遣いと色使いもできるのかと新たな一面を見せ、「朱鍾馗図幟」では驚くべき保存状態と相まって息づかいが聞こえるようです。

 復元でも複製でもない、リアルな江戸に触れるひと時です。
ryougoku_20061105-1.jpg

Posted by mizdesign at 2006年11月05日 23:28
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Tracked on 2006年12月22日 23:30
コメント

こんな素晴らしい肉筆浮世絵に出会えて幸いでした。

Posted by とら at 2006年11月06日 09:06

とら様>
こんにちは。
コメントとTBありがとうございます。
本当にすごい内容で、もうびっくりでした。
「今そこにある江戸」という感じですね。

Posted by mizdesign at 2006年11月07日 09:06

こんばんは。TBとコメントをありがとうございます。

>菱川師宣「芝居町・遊里図屏風」の活き活きとした江戸二大悪所の大パノラマ

これにはもうたまげました。
当時の賑わいとでも言うのか、
人々の欲望が伝わってくるような作品でしたよね。
臨場感もあり、また保存状態も良くて…。
何故に海外へ行ってしまったのでしょう…。

Posted by はろるど at 2006年12月13日 21:15

はろるど様>
こんにちは。

>何故に海外へ

海外に出た優品の里帰りの度に思いますね。
だからこそ、ここまで保存状態が良いという不幸中の幸い(?)もあるんでしょうが。
遺言で公開を禁じられている作品もあるそうですし。

定期的に海外のコレクションが公開されるネットワークが定着して欲しいです。

Posted by mizdesign at 2006年12月16日 09:21

こんばんは。

拙ブログに書いたように
こうなるとメガスターが見ものです。

さてさてどうなっているやら。。。
楽しみですね!

Posted by Tak at 2006年12月22日 23:31

Tak様>
こんにちは。
去年は北斎展、今年は江戸の誘惑を経てメガスターで締めですね。
二年続けてトリを飾るとは、さすが北斎。楽しみです。

Posted by mizdesign at 2006年12月24日 09:19
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