2006年11月04日
●国宝伴大納言絵巻展
出光美術館で開催中の「国宝伴大納言絵巻展」を鑑賞しました。有名な応天門炎上の場面だけでなく、三巻からなる絵巻が全幅公開されるという点で見逃せない展示です。副題は「-新たなる発見、深まる謎-」。最新の技術を駆使した研究成果と詳細画像で魅せます、読ませます。
たっぷりの待ち時間の間に解説パネルをじっくりと読み込んだ上で鑑賞する絵物語は見応え充分です。上巻の炎上する応天門を見ようと走る群集、風下で混乱する人々、風上で冷静に眺める官人の対比。中巻の舎人の子供を飛び蹴りする出納の描写。下巻の伴大納言を捕らえに赴く検非違使一行の厳粛な雰囲気。平安の都を揺るがす大事件の顛末を活き活きと浮かび上がらせます。横へ横へと物語が進行する絵巻物の特性を最大限活かしつつ、適度に想像力を働かせつつ物語を楽しむ点で、抜群に良くできた展示だと思います。
不自然な紙の継ぎ目の意味は?当時の4人の権力者のうち3人が、事件後2年のうちに世を去ったことはただの偶然なのか?様々な謎を、絵巻物の制作を命じたであろう後白河法皇の立場まで踏まえて推理する解説も、とても興味深いです。高精細デジタル撮影で等身大に引き伸ばされたパネル展示も迫力充分。ボケ感が全くない拡大画像は、絵師の描写の確かさと、炎上する応天門の迫力を余すところなく伝えてくれます。
あちらこちらで聞くとおり、平日にもかかわらず1時間待ち。展示を観るのに2時間。昼過ぎに並んで、出る頃には日が傾いていました。でもそれ以上に価値のある展示でした。出光美術館の力の入りっぷりはすごいです。
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mizさん、こんばんは。
早速のTBをありがとうございます。
明日までですよね!仰る通りこれは必見の展覧会かと思います。
>当時の4人の権力者のうち3人が、事件後2年のうちに世を去ったことはただの偶然
まさに謎解きですよね。
とらさんの応天門コードが読み応え満点でした!
あれがもう答えではないでしょうか。
>出光美術館の力の入りっぷり
次は名品展の第二期ですよね。
琳派やら北斎やら等伯がアナウンスされているので、
また楽しみです!
「こちら」からのリンク多謝。
こんなに想像力をかき立てられる絵巻物は初めてです。
美術館から帰ってきて一気に「応天門コード」書き上げました。
こんばんは。
TBありがとうございました。
滑り込みでもなんでも
実物をご覧になられたようで安心しました。
それにしても出光の確変モードは
いつまで続くのやら。。。
はろるど様>
こんにちは。
はろるどさんの早い出足に刺激されて、待つこと数週間。
ようやく対面できました。
次回も楽しみです。
とら様>
こんにちは。
揃いで観てこその、臨場感と劇的な展開ですね。
素晴らしかったです。
Tak様>
こんにちは。
トリッキーな展示替えを事前に知って助かりました。
出光の素材をじっくりと掘り下げる展示は、今後も期待大です。
Mizさん、「応天門コード」追補編を書きましたので、TBします。
とら様>
こんにちは。
追補編読ませてもらいました。
応天門の変と、絵巻作成時の人物模様が重なって、立体時空パズルと化していますね。
まさに「深まる謎」。
どうもありがとうございます。