2006年10月20日
●フライ・オットー 建築を語る
昨日鹿島KIビルで開催された講演会「フライ・オットー 建築を語る」を聞きました。高松宮殿下記念世界文化賞の2006年建築部門を受賞されたドイツの建築家「フライ・オットー」さんと、紙の建築等で有名な建築家「坂茂」さん、構造家であり東大教授でもある「川口健一」さんの三者による鼎談形式の受賞記念講演会です。
話はオットーさんの協働者として大切な2人、テッド・ハッブル(ホッパー?)さんとそのアシスタントを務めたピーター・ライスさんの名前を挙げるところから始まります。そして丹下健三さんとの出会いとクウェート・スポーツ・シティコンペでの協働作業の紹介へと続きます。ゆっくりと、そして尽きぬ泉のように話し続けるオットーさんと、興味深い点を指摘し掘り下げを図る坂さん、ポイントを踏まえつつ適度に話を切り上げて次のテーマへと誘導する川口さんという感じで進行していきます。シュトゥットガルト大学軽量構造研究所の紹介では、科学と生物の二方向の研究アプローチのユニークさを紹介し、さらに構造形式を検討する上での模型の重要性を説きます。そして坂さんと協働されたハノーヴァ万博日本館の紹介。紙管による折れ曲がり屋根の困難を、オットーさんの発案によるユニークな接合パーツの考案で克服するエピソードが披露されます。最後に最新作としてコンクリートシェル構造の大屋根と、二週間前に行ったばかりという地下空間に関する実験を紹介して終了です。オットーさんの深い哲学と想像力に触れる、2時間オーバーの熱演でした。
丹下さんとのエピソードのところで代々木体育館(国立屋内総合競技場)が映っていたのですが、私が建築学科に入学して最初にスケッチしたことを覚えています。当時既に近代建築の名作と紹介されていましたが、その計画時から現役の方が今も第一線で活躍されていることはすごいことです。坂さんを始めとする様々な方とのコラボレーションを通して、時代のエッセンスを吸収し続けているところに秘訣があるのではないでしょうか。人とのつながりのエピソードに重きを置く構成から、そんなことを思いました。
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鹿島KIビルB1F大会議室で開催された講演会
「フライ・オットー建築を語る 高松宮殿下記念世界大賞受賞記念講演会2006」に
行って来ました。
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