2006年06月27日
●縮小都市の診断、その処方箋 -perforation(穿穴)-
高齢化社会と経済成長の鈍化。社会構造が変化するときに、「都市」はその変化にどう対応するのだろうか。住宅もビルも都市の一部なので、都市像を踏まえた提案をしたいと常に思っています。そんなときに「第24回TNプローブ・サロン 縮小都市の診断、その処方箋 -perforation(穿穴)-」という講演会案内が目にとまりました。「縮小都市」というストレートな現状認識と、「穿穴」というキーワードの組み合わせに興味が湧きます。
講師は千葉大助教授の岡部明子さん。EUの地域政策、環境政策を研究されているそうです。講演は「ライプツィヒ」と「バルセロナ」における都市再活性化の事例が紹介されます。市が改築費として50%の補助金を出しても誰も活用しなかったが、建物を撤去して中庭を作ったところ、建物オーナーもイメージアップに関心を示すようになった。間にはさまれるエピソードが具体的で興味を深いです。その上で、両者とも建物を減らすこと(穿穴)によって価値を高めるという点が共通していると指摘されます。
手法としては昔からあるモノですが、それを穿穴と見立て、建物を減らすことが都市の価値を高める=経済活動の一環(資本の拡張)として捉えられないかと提起する流れはとても刺激的です。その根底には楽観的な視点が感じられ、都市論は本質的にアカルイモノであると思いました。
会場は品川インターシティでした。黒々とした木々と光を放つ高層タワーのコントラストが特徴的?
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千葉大は都市政策に長けた人を集めているようですね。
以前村木先生の話を聴きましたが、岡部先生の話にも興味を覚えます。
両先生の話に共通するのは、「都市の価値を高めるための施策」を考えられている点であるように感じました。
都市論はアカルイものであるべきでしょう。そこに住んでいる人々と一緒に考えていくスタンスでもアカルクいきたいものです。失望せずに。
佐藤K様>
お話としてはとても面白かったです。ファンタジーな内容と現実の接点を求めようとするところが今風ですね。