2006年06月26日
●カルティエ現代美術財団コレクション展 その1
東京都現代美術館で開催中の「カルティエ現代美術財団コレクション展」を鑑賞しました。「カルティエ現代美術財団」といえば、ジャン・ヌーベル設計による本部ビルが真っ先に思い浮かびます。ガラススクリーンの中に自然を活けたようなデザインは、突き抜けた美しさと存在感を誇ります。その財団のコレクション展と聞けば、期待は高まるばかりです。
展示はライザ・ルーの「裏庭」から始まります。ビーズで埋め尽くされた人造自然というべきオブジェは、異様な美しさに満ちています。その向こうに楽しげに作品作りを進めるアーティストの姿が浮かぶようで、思わず口元がほころびます。リチャード・アーシェワーガーの「クエスチョン・マーク/3つのピリオド」は、裏側に回り込んだり見上げたりしてフォルムの変化を楽しみ、ベンチのようなピリオドに腰掛けたい誘惑に駆られます。そしてロン・ミェイクの「イン・ベッド」の存在感に立ち尽くします。巨大な母親像?肌や髪の毛の驚異的なまでにリアルな質感と、スケールが異なる違和感が激しくせめぎあいます。そして目と目で見つめあう絶妙の位置関係。現代美術の魔法にどっぷりとはまります。
2階に上がると、松井えり菜の絵と遭遇します。引きの強い絵柄が、ソレが何であるかを認識するよりも早く脳に到達し、絵の脇に置かれたエビチリ(カビてる?)に目がいくに至って、グロテスクさが押し寄せます。見事な時間差にしばし呆然。3階に上がるとトニー・アウスラー「ミラー・メイズ」の巨大な目が一斉にこちらを見ます。球形に張ったスクリーンとプロジェクターで出現する眼球ゴロゴロ空間は、昔テレビの特撮番組で観た異次元空間のようです。デニス・オッペンハイムの「テーブル・ピース」は一転、長いテーブルと両端の人形、そこから発生(するように見える)奇声だけのシンプルな構成です。広い空間に長いテーブルが映えます。
一気にB2階まで降りると、吹抜空間にマーク・ニューソンの「ケルヴィン40」が駐機しています。独創的で美しいフォルムと、「本物」のモックアップとしての徹底的な作り込みが素晴らしいです。エアフローの解析図や屋外写真も存在感を強調します。何よりコクピットに乗り込んだ本人の写真が良いです。夢の究極の到達点でしょう。中庭にはパナマレンコの潜水艦が鎮座しています。生々しい溶接の数々、鉄塊の圧倒的な量感、内部の緻密な作り込み。アーティストの構想と執念がビシビシ伝わってきます。中庭を海底に見立てた配置も決まってます。
全編見所に溢れた、現代アートファン必見のスーパーイベントです。
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? 「カルティエ現代美術財団コレクション展」 東京都現代美術館 6/3 from はろるど・わーど
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「カルティエ現代美術財団コレクション展」
4/22-7/2
カルティエ現代美術財団による、世界初という大規模なコレク... [続きを読む]
? 東京都現代美術館「カルティエ現代美術財団コレクション展」 from きままにARTSダイアリー
先日、「カルティエ現代美術財団コレクション展」を観てきました。 美術作品ばかりで [続きを読む]
Tak様>
こんにちは。先日はどうもありがとうございました。カルティエ展の楽しみがとても広がりました。それと二郎と。
エビチリはやっぱりそうなのか。。。あれで臭ったら鑑賞どころでないですよね。心の中では蝋サンプルということで蓋をしておきました(笑)。
こんばんは。
TAkさんとご一緒なんて羨ましいです!
何か色々な前評判も聞かれた展覧会でしたが、
私としてはとても楽しめました。
>ベンチのようなピリオドに腰掛けたい誘惑
そうなんですよね。
ただ、会場では触っても、その間を通ってもアウトと言うことで…。
質感を確かめたかったです。
>内部の緻密な作り込み
同感です。
中をのぞいてみると、モニターまであって…。
良くここまでという印象を受けました。
はろるど様
こんにちは。
石原都知事の発言以上にびっくりなのは、カルティエ財団=ジャン・ヌーベルの本部ビルと連想する人があまりいないことです。財団の顔ともいうべき美しい建物なのにパネル展示すらないなんて。。。建築って実はマイナーです(笑)。
>その間を通ってもアウト
僕も注意されました。元々家具を作っていた方らしいので、実用を兼ねても良いのにねえ。そこがアートとの境界なのでしょうか?
>良くここまで
作り手の執念がダイレクトに読み取れるようで好きです。マーク・ニューソンのスマートさと好対象を成していましたね。
はじめまして、こんにちは。
はろるどさんのところから、お邪魔させていただきました。
とても良いコレクションでしたね。
私も思いっきり楽しむことができました。
TBさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
snow_drop様>
はじめまして。コメントとTBありがとうございます。
ほんとうに観て面白い展示でしたね。夢の具現から重いテーマの内包まで、様々モノを含みつつもアートとしての楽しさで埋め尽くすところがさすがだなと思いました。
よろしくお願いします!