2006年05月20日
●BAO/BABB. 第12回勉強会レポート
昨晩はBAO/BABB.の第12回勉強会の日でした。場所は柏アミュゼ5階会議室D、参加者は13名、参加費は飲み物とおつまみ+資料代で500円でした。参加くださった方々ありがとうございます。
「Session03 可能性の柏」の第3回目は「街と住宅の話 -作り手と暮らし手の間に橋を架ける-」です。講師は私が勤めました。
BAO/BABB.は実験の場なので、無難にまとめるよりも、強引な構成でも好きなようにやってこそ意義があると思うという前説を経て本題へ。まずは柏の現状として、計画面で工夫があると思える三つの例を紹介します。25年間景観作りのルールを維持してきた「東急柏ビレジ」、地域住民との交流イベントを盛り込みながら宅地開発を進める「ローレルヒルズ手賀の杜」、40年を経て更新される景色「豊四季団地」。現地を訪れた写真を交えつつ、それぞれのポイントを説明します。
次に作り手が考える可能性の例として、私が仕事で携わった宅地開発の提案例、集合住宅の例を紹介します。全体に統一性を与えた上で個別性を演出するための、敷地割、塀、植栽、駐車場位置等の工夫。敷地内を立体的に通り抜ける歩行者通路の計画。建物の長寿命化のための無柱空間と設備配管を沈める二重床等々。
そして、住み手が考える可能性の例として、Session02で登場した杉野さんによる「谷津田を活かした集落モデル」を紹介します。谷津田地形の斜面林、農業が盛んな地域性を踏まえつつ、その間に集落の形成を盛り込みます。
さらに住宅の建替えを巡る諸問題について説明します。青山、代官山、江戸川、三つの同潤会アパートと表参道ヒルズを紹介して、長年かけて形成された環境を継承する難しさと可能性について話します。さらに新聞の切り抜き記事を紹介して、住民vs住民の建替計画をめぐる論争、再開発後の住民間のつながり形成の明暗に触れました。柏、作り手、暮らし手の視点を網羅し、補足する形で説明は終わりです。結論ありきでなく、作り手と暮らし手の意見交換を通して煮詰めることが、今以上に必要になると結びました。
質疑に移ると、「意見は様々あれど、あなた(水上)は柏がどうなると良いと思うか」という質問が出ました。「他エリアの手本になるような計画が増えて欲しい。例えば美しく整備された高級住宅地。少々閉鎖的なエリアになるかもしれないが、身近に存在することで景観整備の良さを体感できる。それと東京にもないモノが誕生して欲しい。」。最後にTeさんに「景観整備にもお金をかけることが必要ということ。」とまとめていただいて一次会を終えました。
二次会は恒例「ちばや」で行いました。こちらでも、話の構成の弱さと結論の曖昧さのダメ出しを相次いでいただきました。前説で「強引でも好き勝手に」と振っておきながら、終わってみれば無難な〆に、自分でももったいなかったと反省しきりでした。次の機会の糧にします。参加者は14名、二次会の会費は2,500円でした。
一次会の話を終えて、会場を明るくしたところ。材料はまずまず、調理方法にもう一工夫でした。
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展開もよかったですし、説明もビジュアルを使いながらでよかったです。
映像を見せながらのゆっくりした説明だったので、説明を聞きながら自分なりの新しい豊四季団地像などを思い浮かべることができました。わざわざそれらを述べ合うディスカッションの時間をとらなくても、講義として成立していたと思います。
若いころにやったというあのエネルギーで、「谷津田を活かした集落モデル」のプレゼンをじっくり聞きたい気がしました。柏市がそんな機会を作ることはないのだろうか・・・。
そうですね。
すぎのさんと組んで、「谷津田モデル」を練り上げてほしいなあ、と思いました。
柏市は、たぶん作りません。すぎのさんと水上さんがモデルを作って、あちこちで話しをして、中村順二美術館の館長さんたちとディスカッションをしたりしていると、数年後にようやく柏市が重い腰をあげるのでしょうね。
五十嵐様、佐藤K様>
話の練り込みは準備段階で終えて、プレゼンはエンターテイナーに徹するというのがモットーなので、今回はもったいなかったなーという感想になってます。
その反面、BAO/BABB.でこれ以上する必要(意義?)があるのかという疑問もあって、あんな幕切れになりました。
そんなわけで、BAO/BABB.って何よという話はSession04に続きます。
佐藤K様>
今年はアート、歴史的建築の活用と続く予定なので、今回の続きがあるとすれば一年後ですね。それまでBAO/BABB.が続けば(笑)。