2006年02月21日
●ニューヨーク・バーク・コレクション展
個人の視点で綴られる通史の面白さにハマリ気味なこの頃です。複雑化、分業化、専業化の時代だからこそ、全体を見渡す視点に惹かれるのでしょう。知識に裏打ちされた大胆さに、ユーモアを交えるのが現代風。というわけで、「ニューヨーク・バーク・コレクション展」に行ってきました。副題は「日本の美 3000年の輝き」です。
縄文土器から始まる展示は、実物で観る日本美術の教科書のようです。でもちょっと隠し味がある感じ。「霞というよりもオーラ」とか「竹も踊っている」という説明文にクスリとしたり、白描源氏物語絵巻を裾に入れて持ち歩いたという話にヘーッと思ったり。前半のクライマックスは、地下1階から1階への吹抜けを4面の屏風絵が囲むところでしょう。「大麦図屏風」の大胆な画面構成、「柳橋水車図屏風」から「扇流図屏風」へと連続する水流の上を飛ぶが如く渡る橋の空間性、「四季草花図屏風」の繊細な描写。中央に置かれたソファからなかなか離れられません。畳座敷だったら日が暮れるまで居付きそうです。
1階に上がると、伊万里焼角瓶の鮮烈な色彩とスラリとした形態が目に入ります。陶器と屏風絵がズラリと並び、心はすっかり桃山・江戸時代にトリップしています。宗達、光琳、抱一と観てすっかり堪能した気になったところで、ポスターの絵を観ていないことに気付きます。そういえば若冲も。。。
というわけで2階へ上がります。本展の顔、蕭白のところから「かわいいー」という声が聞こえます。「石橋図」というよりもサインペンでキュッキュと描いた101匹ワンちゃん大行進という感じです。江戸時代にこの絵を描いたらさぞ変人だったろうなあ。最後は若冲の「月下白梅図」と「双鶴図」で〆です。こちらからは「さすが若冲は違う」という唸り声が聞こえます。月下に光る梅の美しさ、鉄筋に卵を挿したような鶴のアウトライン。確かに!
近くで観ると漫画チックな101匹ワンちゃん大行進。。。
離れると、ちゃんと江戸時代の絵に観えるところが不思議。自転車で美術館巡りがうらやましい。。。
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う〜ん、やっぱりうらやましい(笑)。
いえいえ、感想に浸らせていただきました。
すばらしいコレクションですね。海外に渡ってしまったのは残念な反面、海の向こうでも大事にされていると思うと、なんか涙が出そうです。
私が行ける可能性があるとしたら、最終日かしら・・・でも、人の頭は見に行きたくないし(笑)。
tsukinoha様>
「書の至宝展」が終了前日だったせいか、こちらは意外と空いていました。でも最終日は混むでしょうね。。。
入場制限がかかったら東博の狩野一信に切り替える手もありますね。もう少し経つと庭園開放や天寿国繍帳公開と見所が増えるだけに、東博のじらし作戦が少々恨めしいところ。
これ、都美館ですよね。前川事務所設計の。建替える前が絶賛されている・・・
ああ、美術から遠い日々だ。
妄想を膨らますか・・・
佐藤K様>
東京ステーションギャラリーの前川國男建築展も来週で終わりですね。2月は本当に短い。