2006年01月10日

●法隆寺 1989

 初雪が降りました。冬の景色の三回目です(一回目二回目)。
 法隆寺西院伽藍は現存する世界最古の木造建築群として有名です。またその再建、非再建を巡っての論争も有名です。607年に創建され、670年の大火で焼失、710年頃に再建されたという説が有力ですが、疑問点も残っています。そして聖徳太子一族の歴史ミステリーの舞台でもあります。

 中門越しに五重塔を眺めています。観光写真でおなじみの構図ですが、霧が立ち込めると様相が一変します。すぐそこにあるのに見えない。奥行の喪失が現実感を失わせ、空想の余白が広がります。日付は1989年12月23日。一回目の法起寺と同じ日です。
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2006年01月06日

●国宝 松林図屏風公開

 今日は午前中から都内の工事現場で打合せでした。解体作業がだいぶ進んで、そろそろ現場監理が本格化します。

 帰りは一路、上野へ。「博物館へ初もうで」のキャッチフレーズもプチヒットですが、本命は「国宝 松林図屏風公開」です。絢爛豪華な桃山文化を代表する二大絵師の一人、長谷川等伯の技の極地。ずっと観たかったのです。

 間近で見ると、荒々しい筆遣いの松の葉と掠れて消え入るような幹の両極端な表現に目がいきます。離れていくと両者が調和して松が見え、さらに引くとそれらが霞みの中に見え隠れします。とても不思議な感覚に、目が離せなくなります。ちょうど良いところにソファがあるので、腰掛けてじっくりと眺めずにはいられません。林に見えたのは、実は松が風に揺られて動いた軌跡のようにも、日の移動につれて動く影のようにも見えてきます。大きく4グループに分かれる画面構成は、全体でひとつの松林にも、4種4様の描法を試す場にも見えます。絵の中で時間が流れているようなとても不思議な感覚。本当に絶品です。
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 帰りは国立西洋美術館の前庭を抜けて上野駅に戻りました。ガーデン・イルミネーションも見納めです。その向こうに東京文化会館が赤く浮かびます。「前川國男建築展」が東京ステーションギャラリーで開催中です。
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