2005年12月24日
●GUNDAM 来るべき未来のために
「ガンダム」を知ったのは1/144スケールのプラモデルでした。はじめは普通に売っているヒーローロボットシリーズの一つだったのが、ブームの到来で新製品が出ては品切れの繰り返しになり、そして劇場版が公開されました。TVシリーズを観たのはその後になります。なので私にとっての「ガンダム」は、プラモデル、劇場版、TVシリーズの順になります。
あれから二十数年。大阪で「ガンダム展」があると知ったときは、1/1コアファイターを観に大阪まで行こうかとちょっとに考えました(その時は巡回展の予定がありませんでした)。なので上野で巡回展の案内がでたときは嬉しかったです。
その「GUNDAM 来るべき未来のために」にようやく行きました。内容は「若手キュレーターとアーティストによるガンダム祭り」という感じです。展示そのものは物足りない気もしますが、アニメを題材に現代アートするノリは大好きです。私的には1/1コアファイターのリアリティと巨大セイラさんの迫力が体験できて良かったです。物販スペースで会場限定モデルが飛ぶように売れているのが印象的でした。商業的に成功して、「YAMATO展」や「EVANGELION展」へとつなげて欲しいです。
出口付近には富野由悠季監督による「From First」が展示されています。ラストシューティングポーズを髣髴させる「GUNDAM」を見上げてみました。来年春公開の「機動戦士Zガンダム 完結編」を楽しみにしています。
●吉村順三建築展
昨日は午後から上野に出かけました。「北斎展」を鑑賞してから早一ヶ月。葉も落ち、日も低くなってすっかり冬模様です。行く先は東京藝術大学 大学美術館、「吉村順三建築展」です。
会場に入って、人出の多さに驚きました。会期終了間近の三連休で、しかも午後。当たり前かもしれませんが、建築展が多くの人で賑わっていて嬉しいです。
会場は広いワンルーム空間で、中央の島に図面や解説を集め、それを囲むように1/50の模型、壁面に沿って写真とスライドが展示してあります。模型を様々な角度から眺めて「流れるような空間構成」を体験しつつ、壁面の写真、島の図面やスケッチを見ていくと、頭の中に吉村さんの考えや空間が流れ込んでくるようでした。トレーシングペーパーに緻密に書き込まれたローコスト化の考え方の変遷等も興味深かったです。後で図録を観たら、模型の写真は一切なく、会場内で感じた空気との落差に愕然としました。実際に観られて本当に良かったです。
正門前大看板には「軽井沢の山荘」の原寸大の断面図が展示してあります。その大きさを実感しつつ空を見上げて、木立の中の山荘を想像しました。
2005年12月16日
●西船橋駅構内
昨日は久しぶりに西船橋駅で乗り換えました。駅構内を歩いていると妙に綺麗なので、「改札を出たっけか?」と立ち止まりました。あたりを見廻すと確かに駅構内。なのに上階へのエスカレーターや吹抜があります。「ああ、これが「エキナカ」か。」とようやく合点が行きました。駅を利用する人たちを「旅客」でなく「消費者」として捉え、そのニーズに合わせた商業空間として駅構内を整備するのが「エキナカ」です。「近郊線の乗り換えしかない西船橋駅で需要があるの?」という疑問もありますが、上階には広めの本屋さんもあり、かなりの人が入っています。通過型でなく、プチ滞在型という感じです。お昼過ぎだったので、構内で食事して目的地へ乗り継ぎました。確かに便利。
そろそろスイカとパスネットの相互乗り入れも何とかして欲しい。改札で清算して、次回利用するときに磁気処理してもらうのは不便で仕方ないです。
2005年12月10日
●新宿サザンテラス
「新宿サザンテラス」は新宿駅南口から甲州街道を渡って伸びる歩行者専用遊歩道です。新宿駅を起点とし、線路上の横断橋を渡って新宿タカシマヤへと繋がる動線は明快で、ショップやカフェが点在する景観と相まって「カジュアルな回遊性」を上手く演出しています。もう一つのエンドポイントであるサザンタワーが少々貫禄不足なのがもったいない。
昨日通りかかったら綺麗にライトアップされていて見違えました。表参道のようなダイナミックさはありませんが、普段と違う魅力が観られて嬉しくなります。青いライトが特に印象的でした。
2005年12月07日
●法起寺 1989
法隆寺で有名な斑鳩には、斑鳩三塔と呼ばれる三つの塔があります。そのうちの一つ、法起寺の塔は現存最古の三重塔で、飛鳥様式を今に伝える貴重な遺構です。
奈良に行った際に、早起きして斑鳩を散策しました。あいにくの濃霧で、お寺の前に立っても塔が見えずにびっくり。しばらく待っていると少しづつ霧が薄くなって塔と堂のシルエットが浮かびました。絵のような現実に「自然現象ってすごいな」と感動しました。日付は1989年12月23日。「建物」から「景観」へと興味が広がるきっかけとなりました。
2005年12月01日
●室生寺 1992
12月になりました。暖冬といいつつも、朝夕の冷え込みが厳しくなってきます。気分がキュッと締まるので、考え事をするのに良い季節だと思います。そんなわけで冬の景色をいくつか紹介します。
「景観の構造」(樋口忠彦著 技報堂)によると、室生の地は「八葉蓮華型」に分類されます。深山の奥、山に囲まれた地形を仏教の理想郷に見立てる訳です。同型に高野山が上げられており、女性に門戸を開いたことから「女人高野」と称されるのも説得力のある話です。写真家土門拳さんが雪景を撮ろうと仮病を使って入院するエピソードも有名です。
そんな室生寺が観たくて、冬の奈良に出かけました。日付は1992年2月5日。地元の民宿に前泊して、早朝の散歩に出かけたときの景色です。霜が降りて白くなった、太鼓橋の踏板と表門の屋根。真言密教の道場らしい厳しくも美しい瞬間でした。金堂、五重塔と廻ったところで空が明るくなり、あっという間に霜は消えました。