2005年10月04日
●光琳の七不思議
芸術新潮10月号の特集は「光琳の七不思議」です。表紙は「燕子花図屏風」のクローズアップ、金地に群青と緑が異様に映えます。その引力に即買いでした。
「七不思議」の中身は、物知りなおじさんたちが最新の研究成果を踏まえつつ展開する七つの対談(ひとつ鼎談)なのですが、バラエティに富んでいて面白いです。冒頭と締めで光琳ワールドの虜になり、「燕子花よおまえもか」で笑い、「「とろーん」と「てろり」」でなごませてもらいました。間にはさんだ年譜もユーモラスな言い回しで馴染んでいます。対照的に図版は綺麗で迫力があり、その落差が内容を一層深めています。絵画、デザイン、工芸を自在に横断する光琳だからこそできる、とても真面目に遊んだ一冊だと思います。
10/8-11/6まで根津美術館で「国宝 燕子花図-光琳 草花の意匠」展が開催だそうです。こんなに力の入った前段を見せられて、期待は高まる一方です。
八橋に出てくる燕子花と橋の取り合わせってこんな感じかなというわけで、手持ちの写真をトリミングしてみました。もっとも花は花菖蒲、場所は明治神宮外苑ですが(笑)。この写真を撮った頃は広重を意識していました。14年経って光琳に思いを馳せるとは夢にも思いませんでした。
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? 097 光琳の七不思議 from たまゆらデザイン日記
芸術新潮10月号特集は「光琳の七不思議」。
光琳だったら竜田川にモミジなんかを描いたものがあるはず…。しかしそこは光琳の分身のような「燕子花図」の有無を言わせ... [続きを読む]
雑誌の特集としては贅沢な一冊ですよね。
素行がばれてしまうような文書まで残すとは、よほど自己顕示欲の強い人だったのかな〜などと想像を膨らませます。光琳の魅力は人間くささにあるのでしょう。スキのない宗達の画と比べて光琳の描く画が「ざわざわとしている」ゆえんかもしれません。知れば知るほど惹かれてしまいます。
澁澤龍彦の『フローラ逍遥』のアイリスの頁に、この庭園の思い出が記されていました。「ハナショウブの観賞には雨の日が似合う」とあります。
トラックバックありがとうございました。
tsukinoha様>
コメントとトラックバックありがとうございます。
自己顕示欲の強い天才といえばレオナルド・ダ・ビンチも有名ですね。ミラノ大公に宛てた自信たっぷりの自薦状、投げ出した仕事の数々、修行時代から師匠を超えていた描画の才、そしておびただしい量の手稿。しっかりと男色家の噂もあります(笑)。
美しい自画像でダ・ビンチが上で、面構成の鮮やかさで光琳が上。1勝1敗の五分というと判官びいきが過ぎるでしょうか。
そのダ・ビンチの手稿も森美術館で公開中。仕事に埋もれる我が身が恨めしいです。
都内に仕事場があれば、どんなに良かったか。と、思う今日この頃です。mizdesignさんとtsukinohaさんの影響が大きいです。
すっかり、美術的話題から遠ざかっていたのですが、気になって仕方がありません。馬込に足を運んだときも、他の用事に無理矢理抱き合わせで実行しました。
昔から男の芸術家は男色家の影が濃いですね。もしかしたら、それを抜きに語れないのかもしれません。芭蕉も男色家だと、嵐山光三郎が言っていました。
佐藤K様>
都内で仕事をしても他に寄る時間がなければ同じ事ですよ(笑)。昨日は17:30に新宿で打合せが終わって、光琳か?マティスか?と色めいたもののどちらもまだ開催していませんでしたし。なかなか上手くいきません。
芭蕉の話は「燕子花よおまえもか」の段でこともなげに触れられています。あんまりあっさりと流すから読むこちらがおいおいおいとツッコミを入れてしまいます。