2005年08月08日
●杉板 (外装用)
建築素材の三回目です。(一回目、二回目)
外装材は建物を護る鎧であると同時に、外部空間を性格づける仕上材でもあります。その選定は耐久性や耐候性といった性能、金属や木といった素材、そしてコスト面を合わせて検討することが大切です。
写真は外装用杉板の塗装サンプルを並べたところです。木材ならではの柔らかく温かみのある質感が魅力です。自然素材なので素材の色味にバラツキがあることと、経年変化で仕上の色味が変化するため、念入りに検討します。左下の三つのピースは別社のサンプルで、特殊な薬品を注入することで素材の防火性能を高めたモノです。性能が高い分単価も上がるので、ケースバイケースで最適な素材を選びます。
仕上塗装はオスモカラーのワンコートオンリーを使っています。自然の植物油と植物ワックスをベースにした無公害塗料です。左がメーカーの塗装サンプル、右が実際に使う素材に塗った塗装サンプルです。メーカーサンプル右側真中の色と、実サンプル左下の色が同じ色です。素材の色に大きく左右されることが分かります。
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この記事を読んでから、「空に開いた部屋」をみると、より理解できます。
サンプルは小さいので面で見ると、違った印象になるときがあります。楽しみと少しの不安とが入り混じるのが、素材選びの醍醐味と言えましょうか。
佐藤K様>
杉板+オスモは経年変化が大きいので、提案の際に丁寧な説明を心掛けています。ハウスメーカーの全く変化しない外装材に慣れている目には、頼りなく見えるみたいです。環境の視野から見れば、変化しない素材の方がよほどやっかいなのですが。。。
障害者の入所施設でのことなのですが・・・。ぬくもりを感じる施設に、ということで建て替え時に木造を考えたそうです。しかし施設の基準で防火の点から認められず、コンクリートの壁に。しかたなくその表面に木製の板を張ったと聞きました。10年くらい前の話です。
今なら、「特殊な薬品を注入することで素材の防火性能を高めた」木材を使った、木造の施設も可能なのだろうか。
新建材の開発は、住まいの選択肢を拡げてくれます。
五十嵐様>
建物の耐火性能は「避難に必要な時間を確保するため」の規定です。理屈上は、木でも燃える分だけ厚くしておけば使えます。実際には、大丈夫という個別の認定を受けるための費用と手間が大変なので、滅多に使えませんが。
最近は樹脂でコートして収縮を抑えた木というのもあります。そこまでいくと木のパターンを埋め込んだ樹脂材にも見えて、それって木なのか?という疑問も湧きます。種類が増える一方で、なんじゃそりゃな材も多く、取捨選択が大切です。
なるほど、木では絶対に駄目なわけではないのですね。
家の間取り作りにハマッテしまいまして、「平屋なら天井は高くできるな」とか、「ここの窓は高い位置にしよう」とか、だんだん立体的に空想をはじめています。もちろん建て替えの予定があるわけではないのですが、一つの枠組みである建築物としての家の形を考えることが、自分の家族についての発見に繋がっています。
これの流れで、このブログの建材シリーズを読み直しているところです。
五十嵐様>
いいコメントですねー、ハマッテいただいて本望です。意外と簡単でしょう?建築を作品として語ることは、ほんの一面に過ぎません。身近に感じること、考えることから分かる面も大切だと思っています。