2005年07月11日
●ヒルサイドテラス
代官山の旧山手通り沿いに、30年の年月を経て形成された街並があります。それらを形作るのは、諸機能(住居、店舗、レストラン等)を、内外に伸びるバブリックスペース(広場、歩行者通路、階段等)で緩やかにつないだ一連の建築群です。設計は槙総合計画事務所(アネックスのみスタジオ建築計画)です。都市と建築の豊かな関係を作る姿勢は一貫しつつ、時間の経過に合わせて変化を盛り込んだ本計画は、建築が街を作る可能性とその過程を教えてくれます。
先日、打合せ前に時間があったので久しぶりに散策しました。広場と建物が連続する街路は歩いて楽しいです。
代官山交番前よりA棟を望む。竣工は1969年です。広場、ガラス、建物の構成が明快で美しいです。建物を越えて伸びるケヤキが、時間の経過を物語ります。
通りよりC棟中庭を望む。竣工は1973年です。建物をスクリーンとして使うことで、通りとほどよい距離感を作っています。内部化された外部空間の好例だと思います。
F棟よりG棟を望む。竣工は1992年です。建物ボリュームや仕上材は変化しつつも、庇線は旧来の建物高さに揃えてデザイン的な統一を図っています。街並として何を変えて何を継承するかが興味深いです。
G棟より広場を望む。奥にはカフェやギャラリーがあります。格好は良いのですが、動線が曖昧で今一つ落ち着きません。10年くらい経ってどう変化するか興味があります。
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こんにちは。
この辺、よく通りました。コメントに頷きながら拝見させていただきました。
ありがとうございました。
九段下から、またまたこっそり書き込みです。
することがなくなったので。。。。
つくづく、「教科書」だと思います。書じゃないから、「教科建築」あるいは、「教科立体」です。
表参道の建替えを代官山と比べてみたくなるのですが、あまり意味ないか。別物ですね。
tsukinoha様>
こんにちは。この辺に出入りするようになって早10年が経ちました。この街並は変わりませんね。表参道あたりのセットのようにどんどん変わる街のエネルギーもすごいですが、このあたりの変わらないためのエネルギーもすごいです。街は生き物だなと思います。
佐藤K様>
現代建築史の一部として歴史に残る計画だと思いますが、まちづくりのテキストとしては特殊すぎて汎用性に欠けると思います。ソフトとハードを合わせて「お話」として語り継ぐのが適しているような。そういえば「集まって住む」の最後のほうに「まちに住む」としてA、B棟がでてきますね。あんな感じで一冊の絵本になるのがベストに思えます。
なるほど、汎用性ということを忘れていました。ぼくは、スタンダードというものに関心がないのかもしれません。大切なことに気がついてしまいました。ありがとうございます。
佐藤K様>
汎用性を巡る話はちょっと複雑です。今は画一性が嫌われる時代なので建物にも個別解(と思える解)が求められるのですが、その反面ノウハウの蓄積(フィードバック)は軽視されがちです。設計レベルの底が上がって高レベルな計画ばかりならそれでいいのですが、街中を歩くととてもそうとは思えません。やっぱりフィードバックとその活用は大切だと思うこの頃です。