2005年04月22日
●横浜美術館
「ルーブル美術館展」が気になったので、出張の帰りに横浜美術館に寄りました。これまでは新古典主義やロマン主義はあまり興味を持って見ていなかったのですが、こちらでアングルの話題が出て興味が湧きました。ドカーン、バカーンと並ぶ大作の数々、最小限の解説、戻れない動線。個人的には構成や見せ方が物足りなく、「大ルーブルの顔見世興行」なんだなーと思いました。同時開催していた「横浜美術館コレクション展 第1期」に出ていたピカソ、ブラック、セザンヌの絵画と、アングルとのつながりを連想するときが一番面白かったです。
横浜美術館へ行くときは桜木町から歩くと面白いです。施設と施設の間をショッピングや散歩といった行為(アクティビティといいます)でつなぐのが、アーバンデザインの基本なのですが、ここはその見本市です。広場空間の数と質では先に上げた東京駅周辺の方が上だと思いますが、それらが有機的に連続するという点ではこちらが数段上です。街の基本構想時に歩行者のネットワークをきちんと考え、それを守りつつ発展していることが分かります。住みたい街として1、2位を争う人気は伊達ではありません。
桜木町駅を出ると「動く歩道」が美術館への道として現れます。写真中央下のゲート部分です。
動く歩道を抜けて、ランドマークタワー内のショッピングモールへ。今回は行きませんが、この先にクイーンズスクエアという更にスケールの大きなショッピングスペースが続いています。よくテナントスペースが埋まるものです。
モールを抜けて左に90度向きを変えると、グランモールという巨大な並木道が伸びます。この地域の歩行者ネットワークの要です。ここに面して横浜美術館が在り、その前は広場になっています。
横浜美術館のエントランスを抜けると、巨大な段状吹抜空間が広がります。「動く歩道」「ショッピングモール」「並木道」「段状吹抜」。これだけバリエーションに富んだ空間が連続して二つの施設をつないでいるわけです。豪華すぎてちょっと疲れます。
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トラックバック、ありがとうございます。
そうですか、「大ルーブルの顔見世興行」になっていましたか。・・・残念。
顔見世興行は押すな押すなの大賑わいが前提なので、そのときは今回の配置、動線で良いと思います。観客をいかに混乱なく流すかが大切なので。この美術館のプランは、ロビーで休んで、好きな展示室に入ってを繰り返す形式なので、人の少ないときは本来のプランどおりに鑑賞させてくれても良いのにと思いました。ちょっとした柔軟性が欲しかった。
柔軟性がないのは、スーのところでも同じです。日本では博物館や美術館は「お上」の管轄です。訪れるたびに、日本は「市民」でいることを許されていないと感じます。
上野の山で見たせいか、見世物小屋の感覚から変わっていないのではないかと思っていました。スーもエレファントマンも変わりません。そういえば、昔、「モナリザ」という大見世物がありました。パンダとモナリザとエクソシストが同時期だったような印象があります。記憶が怪しいけど。
僕は美術館という「場」から捉えているので、「お上」、「市民」といった視点はなかったのですが、説得力のある話です。明治以降に輸入した制度をまだ消化しきれてないんですね。
でも、「市民」ってのはどこにいったんでしょうね。制度とセットで輸入したんだろうけれど、広がらなかったのかな。
そういえば、当時中学生か小学校の高学年だったか忘れましたが、「モナリザ」観にいきました。大阪万博には行かなかったのですが、その映像で見た「月の石」に並ぶ行列のようでした。「ランラン」と「カンカン」を見たときも、同様です。立ち止まらずに展示物の前を通過していく鑑賞(?)の仕方は、高度経済成長の象徴の一つのようにも思えます。
「モナリザ」の展示会場は異様に暗くて、売店で買った小さなポスターの「モナリザ」の方が、ずっといい色に思えたのを記憶しています。