2005年04月29日

●茨城県営滑川アパート 2000

 傾斜のある敷地形状を活かしつつ、三つの建物で中庭を形成した集合住宅です。中庭に面して縦横無尽に伸びる空中歩廊が圧巻です。設計は長谷川逸子・建築計画工房と横須賀満夫建築設計事務所です。
 こちらの建物の設計が始まった頃に、元倉さん(私が勤めていた設計事務所の所長さん)の発案で見学に行った際に撮った写真です。日付は2000年2月19日です。配置計画を巡って、低層面状配置か、塔状散在配置かで試行錯誤が続いていた時期なので、イメージに近い例を見て考えようという意図があったのだと思います。

 高低差+変形形状を巧みに取り込んで、空中歩廊が軽快にうねります。造形のアクロバットを見ているようです。
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 この計画の大胆なところは、南側玄関の住戸を多用しているところです。中庭に面して共用廊下を廻せば南側に廊下がくる住戸もできてしまいますが、通常は廊下を北側まで伸ばしたりして南側玄関を回避します。プライバシーや防犯面で問題が出やすいからです。ここでは逆に、玄関の横にサンルームを配置して、コミュニケーションを誘発する装置として計画しています。実際にはカーテンで覆われている住戸が多いので、今のところ使い切れていないようです。
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2005年04月22日

●横浜美術館

 「ルーブル美術館展」が気になったので、出張の帰りに横浜美術館に寄りました。これまでは新古典主義やロマン主義はあまり興味を持って見ていなかったのですが、こちらでアングルの話題が出て興味が湧きました。ドカーン、バカーンと並ぶ大作の数々、最小限の解説、戻れない動線。個人的には構成や見せ方が物足りなく、「大ルーブルの顔見世興行」なんだなーと思いました。同時開催していた「横浜美術館コレクション展 第1期」に出ていたピカソ、ブラック、セザンヌの絵画と、アングルとのつながりを連想するときが一番面白かったです。

 横浜美術館へ行くときは桜木町から歩くと面白いです。施設と施設の間をショッピングや散歩といった行為(アクティビティといいます)でつなぐのが、アーバンデザインの基本なのですが、ここはその見本市です。広場空間の数と質では先に上げた東京駅周辺の方が上だと思いますが、それらが有機的に連続するという点ではこちらが数段上です。街の基本構想時に歩行者のネットワークをきちんと考え、それを守りつつ発展していることが分かります。住みたい街として1、2位を争う人気は伊達ではありません。

 桜木町駅を出ると「動く歩道」が美術館への道として現れます。写真中央下のゲート部分です。 
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 動く歩道を抜けて、ランドマークタワー内のショッピングモールへ。今回は行きませんが、この先にクイーンズスクエアという更にスケールの大きなショッピングスペースが続いています。よくテナントスペースが埋まるものです。
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 モールを抜けて左に90度向きを変えると、グランモールという巨大な並木道が伸びます。この地域の歩行者ネットワークの要です。ここに面して横浜美術館が在り、その前は広場になっています。
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 横浜美術館のエントランスを抜けると、巨大な段状吹抜空間が広がります。「動く歩道」「ショッピングモール」「並木道」「段状吹抜」。これだけバリエーションに富んだ空間が連続して二つの施設をつないでいるわけです。豪華すぎてちょっと疲れます。
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2005年04月20日

●アクティ汐留 (モデルルーム) 2002

ちょっと番外編です。都市再生機構(旧住宅・都市整備公団)が建物の設計を建築家に依頼した(今回の例では数戸の住戸内装ですが)という点で、東雲キャナルコートの前にくる作品です。設計はシーラカンスアンドアソシエイツ、施工は竹中工務店です。六本木に建設されたモデルルームの見学会に参加した際に撮ったものなので、実際のものとは多少異なるかもしれません。日付は2002年3月8日です。通常1住戸分の平面を、上下2層つなげた上で縦に半分に割ったのがミソです。

コンセプト上、細長いボリュームの空間が連続します。住宅というよりはオシャレな美容室という感じです。
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階段を上がって反対側を向くと、ガラスの洗面、浴室があります。「一人で住んで、たまに友人を呼んでパーティーをする」というライフスタイルなのでしょう。超一流企業が林立する汐留ならではのプランだと思いました。
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2005年04月19日

●東雲キャナルコート 1街区、2街区 2003

都市再生機構(旧住宅・都市整備公団)が手掛ける大規模集合住宅です。全体を6街区に分けて、各街区を別々の建築家チームが基本設計を担当しています。1街区は山本理顕設計工場、2街区は伊藤豊雄建築設計事務所が担当です。写真は内覧会に参加した際に撮ったものです。日付は2003年7月7日です。冒頭で山本理顕さんが「公団を少しは変えられたんじゃないか」とおっしゃっていたのが印象に残っています。

1街区より2街区を望みます。右手が1街区南棟、奥に見えるのが2街区東棟です。14階分の壁に囲まれて街路と広場が形成されています。左下のR状の部分が他街区へと伸びる街路です。これに面してショップが並びます。その左手に見えるのは保育園です。2階レベルのデッキ広場と街路、保育園が立体的につながるダイナミックな外部空間です。
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2階デッキ広場より保育園を望みます。お互いの視線は通しながら、動線は制限しています。共通のデッキ材と芝生を使うことで全体で1つの景観を作っています。この写真では分かりませんが、上から見下ろしたときの幾何学パターンも美しいです。
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建物には2層吹抜のオープンスペースがいくつもあり、建物の外観を特徴付けています。これは1街区側のものです。共用通路とつながっており、屋外広場的な場所です。ここに面する住戸には大きな開口部が設けてあり、引戸で視線をコントロールするようになっています。上階は良いのですが、下階はちょっと厳しそうです。
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ライフスタイルに合わせて様々な住戸パターンが用意されているのですが、私はここが一番気に入りました。オープンスペースを挟んでフリールーム(趣味とかSOHOとか)とLDK+寝室が向かいあう間取りです。奥に見えるのがフリールーム、手前がLDKです。
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オープンスペースはプライベートな中庭になっています。ほとんどが共用な中で、とても贅沢な空間になっています。2街区側のオープンスペースの1つです。
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2005年04月18日

●パークコート杉並宮前 1996

今では当たり前になりましたが、大手デベロッパーのマンションを建築家がデザインするというスタイルの先がけとなった作品です。デベロッパーは三井不動産、設計は早川邦彦建築研究所です。何より衝撃的だったのが、建築雑誌でなく、新聞の全面広告で初めてこの建物を知ったことでした。隣接する公園の緑と中庭の緑に溶け込むような透明感の高い建物のパースもインパクトがありました。写真は建物が完成したオープンハウスのときに撮ったものです。日付は1996年9月13日となっています。こんな好条件(立地、建物ボリューム)での計画自体が珍しいと思いますが、民間マンションでも美しい広場が作れるという好例だと思います。

ケヤキ並木のある中庭です。大きなバルコニーのフレームと吹抜のLDK開口部によるすっきりとした外観が特徴です。
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吹抜のLDKより中庭を望みます。
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手前の中庭の緑と、奥の公園の緑が、建物を間に挟みつつ連続します。
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2005年04月14日

●新緑の上野公園

出張の帰りに上野に寄って、「ベルリンの至宝展」を鑑賞しました。ギリシャ、ローマ、エジプト、メソポタミアといった古代文明を網羅し、ラファエロやボッティチェリといった中世の名品を散りばめ、モネ等の近代美術へと至るその内容は、世界史をジェットコースターに乗って体験するようで眩暈を覚えるほどでした。見ごたえあります。一週間前のピンクの屋外宴会場とは打って変わって、目に沁みるほどの新緑と建物の対比も美しいです。久々に文化拠点としての上野公園を堪能しました。

東京文化会館の打放しコンクリートを背景に、新緑が映えます。
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国立西洋美術館の幾何学的なボリュームを背景に、青空に伸びる曲線が引き立ちます。
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2005年04月12日

●吉野山 1990

桜に浮かれた日々の締めとして、私が日本一の桜の名所だと思っている吉野山の写真を掲載しておきます。日付は1990年4月3日となっているので、もう15年も前の写真です。当時は景観をテーマに卒論を書きたいと思い、あちこちフィールドワークに行っていました。ひらたくいうと旅行ばかりしていたということです。
吉野山の桜は下から上に四つに分けられ、それぞれ下の千本、中の千本、上の千本、奥の千本と呼ばれています。下から順に開花してゆき、だいたい一ヶ月かけて桜が上へ上へと咲き上がります。中の千本が満開の頃が観光の最盛期で、その様は桜の花の絨毯の上を歩くようだといわれています。普通桜は見上げて楽しむわけですが、「上を歩く」と表現されるところが吉野山らしいです。

中の千本でも有数の観桜スポット、吉水神社あたりからの眺めです。一目千本と呼ばれていますが、その名のとおり斜面一面に咲く桜を見渡せます。
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中の千本の遊歩道です。向かいあった斜面の中を遊歩道が通っているので、手前と奥に桜が楽しめます。どこでも花見気分が味わえます。
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上の千本の七曲り坂より中の千本を見下ろした眺めです。吉野山でいちばん有名な構図でしょう。霧が立ちこめる様を見たかったので、小雨の中をウキウキしながら登りました。一枚目の写真の上部右手に桜の列が蛇行しているのが見えますが、ここはその最頂部です。見上げても良し、見下ろしても良し、斜面を歩いても良しが吉野の名所たる由縁だと思います。
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2005年04月07日

●BLOOMBERG ICE

東京駅近辺の私的アートスポットNo.1、BLOOMBERG ICE です。丸ビルにある、通りに面した株価情報掲示板なのですが、ディスプレイに流れる「TOUCH HERE」という文字を押すとメニューが出てきて色々なインタラクティブゲームが楽しめます。建築家クラインダイサムアーキテクツさんとメディアアーティスト岩井俊雄さんのコラボレーションで誕生した作品です。お堅いイメージの証券会社のスペースでこんなのが実現するなんて凄いことだと思います。
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●東京駅周辺

東京駅は東京の玄関口です。交通手段の多様化や玄関口の分散が進むとはいえその地位は健在で、駅周辺は広場空間の見本市のようです。濃い味付のメインディッシュばかりであっという間にお腹一杯なのですが、今回はサラリと流して廻ってみました。

東京駅北口ホール。大きな吹抜空間は、玄関口として相応しいボリュームだと思います。1914年に建てられた駅舎は当時の面影を色濃く残し、ガラスの箱ばかりのこの周辺で、重みと落ち着きを感じさせてくれる貴重な空間です。
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多分この周辺で一番新しい屋内広場空間です。OAZO(オアゾ)というみたいです。カフェが面したイベントスペースと通り抜けできるショッピングゾーンの組み合せで、セオリーに忠実に良くできてます。観客としては、後発の分もう少し仕掛けが欲しいです。
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丸ビルイベントスペースです。外車のイベント、ミニ屋台村、カフェのオープン席が並んでいてちょっと不思議空間になっています。この建物の成功が、この一帯の再開発ブームに火をつけたと新聞で読んだ覚えがあります。
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東京国際フォーラムのスーバー吹抜空間です。平面をグラフィックパターンとして見るととても美しいのですが、立体になるとちょっと持て余し気味に感じます。通り抜け通路というスケールでもないし、イベントホールとしても使いにくそうです。
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東京国際フォーラムは建物間の街路もしっかりとデザインされています。ガラスと緑の街路は透明感がありますし、夜景もビジュアル映えします。ただ、ランニングコストが膨大にかかるため、維持するのが大変そうです。
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●桜紀行 2005

昨日からの晴天続きで、桜の開花はあっという間に5分を超えて7分咲きという感じです。ちょうど出張の日だったので、ちょっと寄り道をしました。

昼下りの東海道線。あっちもこっちもさくら、さくら。ポカポカ陽気で車内は昼寝ムード一色です。
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出張の用件完了!で、とりあえずパチリ。記念撮影の行列ができていました。
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花見といえば、上野公園。この時期は屋外宴会場と化しています。清水観音堂の舞台からパチリ。広重の浮世絵にもでてくるこのお堂は、江戸と現在を直接繋ぐ歴史スポットの一つです。
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最寄駅を出てパチリ。地元の夜桜もなかなかです。
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