2005年04月19日

●東雲キャナルコート 1街区、2街区 2003

都市再生機構(旧住宅・都市整備公団)が手掛ける大規模集合住宅です。全体を6街区に分けて、各街区を別々の建築家チームが基本設計を担当しています。1街区は山本理顕設計工場、2街区は伊藤豊雄建築設計事務所が担当です。写真は内覧会に参加した際に撮ったものです。日付は2003年7月7日です。冒頭で山本理顕さんが「公団を少しは変えられたんじゃないか」とおっしゃっていたのが印象に残っています。

1街区より2街区を望みます。右手が1街区南棟、奥に見えるのが2街区東棟です。14階分の壁に囲まれて街路と広場が形成されています。左下のR状の部分が他街区へと伸びる街路です。これに面してショップが並びます。その左手に見えるのは保育園です。2階レベルのデッキ広場と街路、保育園が立体的につながるダイナミックな外部空間です。
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2階デッキ広場より保育園を望みます。お互いの視線は通しながら、動線は制限しています。共通のデッキ材と芝生を使うことで全体で1つの景観を作っています。この写真では分かりませんが、上から見下ろしたときの幾何学パターンも美しいです。
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建物には2層吹抜のオープンスペースがいくつもあり、建物の外観を特徴付けています。これは1街区側のものです。共用通路とつながっており、屋外広場的な場所です。ここに面する住戸には大きな開口部が設けてあり、引戸で視線をコントロールするようになっています。上階は良いのですが、下階はちょっと厳しそうです。
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ライフスタイルに合わせて様々な住戸パターンが用意されているのですが、私はここが一番気に入りました。オープンスペースを挟んでフリールーム(趣味とかSOHOとか)とLDK+寝室が向かいあう間取りです。奥に見えるのがフリールーム、手前がLDKです。
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オープンスペースはプライベートな中庭になっています。ほとんどが共用な中で、とても贅沢な空間になっています。2街区側のオープンスペースの1つです。
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Posted by mizdesign at 2005年04月19日 07:21
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コメント

 首都高速の上から東雲団地を見ました。夜だったので見間違ったかもしれませんが、「都市の生活」の可能性や限界を見た気がします。プライベートテラスはカッコいい場所ですが、住民にとっては息抜きの場所かもしれない、と感じました。
 しかし、周辺の埋立地!に、よくも沢山の集合住宅が建っているものだ。
 幕張や東雲については、新建築別冊でもSD別冊でもGAでもなんでもいいから、早くまとめてほしいです。当然、都市再生機構の計画者たちに文章を書かせて。そして鈴木成文先生たち集合住宅研究者にも書かせて。
 風景の美しさとか、特異なデザインだとかの裏づけがどうなっているのか。そして、各棟の建築家たちが隣接する別棟を、どのように感じているのか。などなど綴ってほしいと思っています。
 そうでないと、ただのオシャレな団地として片付けられてしまう。

Posted by 佐藤K(KAZZ Satoh) at 2005年04月19日 13:12

 僕は東雲には直接関わっていないのですが、6街区の設計チームの横で福島県の公営住宅の仕事をしていたので、色々と情報交換をしたり事業主さんの独自ルールのことを聞いたりしていました。なのでけっこう思い入れがあります。
 ボリュームから見ると、これって昔の都営住宅と似ていると思いませんか?足元にコミュニティーを形成するという考え方も。そこから考えると計画面での進歩性は危ういのかなと薄々感じつつ、実際のものを見ると「ここまできたのか!」っていう達成感も確かに感じます。さらに「おしゃれ=売れる」という図式も加わって、ごちゃごちゃです。今はまだ「デザイナーズ」で売れるので表層ばかりが目立ちますが、そろそろ計画面や再生機構サイドのフォローも欲しいです。その上で俎板の上の鯉にして料理したい。上にあげた汐留はそのスパイスかもしれません。

Posted by mizdesign at 2005年04月20日 09:18

タイミングがいいのでしょうか。19日のTV東京の夜中のニュース番組に東雲が出ていました。山本理顕氏がインタビューを受けていて、「パッケージ(表層)だけでないデザインを考えた」と、いうようなことを言っていました。6街区すべての建築家の名前も紹介されました。
 ニュースを見ていて感じたのですが、キャスターたちの「デザイン」に対する疎遠感覚です。山本さんの意見に対して確固たる意見を述べられない。所詮ジャーナリズムは、この程度か。と、感じます。それでは、市民のレベルが高まりようがないでしょう。

Posted by 佐藤K(KAZZ Satoh) at 2005年04月20日 13:27

 ありゃま、タイミングの良いことで。今流行っている「ケンチクカ」という言葉には、多分にデザイナーという誤解が含まれていると思います。だってアーキテクツハウジングでなくって、デザイナーズマンションですし。ものすごく極端に言うと、当代きっての一流建築家を揃えて、書き割り屋さんと誤解しているようなものです。センセイ達が積極的にケンチクカを宣伝してこなかったのも原因だと思うし、流行り言葉ありきで話を組むメディアも原因だと思います。そしてその上で踊る僕も含めた設計者達も原因だと思います。これからは「専門家をもっと活用して下さい」と繰り返し言っていきましょう。

Posted by mizdesign at 2005年04月20日 20:53
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