2004年05月15日

●倉敷県営中庄団地、市営中庄団地

以前にマスタープランと基本設計を担当した倉敷市営中庄団地第2期工事が竣工したとのことで、見学に行きました。中庄団地は県営が1~4期、市営が1~2期(計画は4期まで)まであるのですが、お互いの歩行者空間が連続していて、ずっと散歩道のように歩いていけるように計画されています。周辺の人達にも使ってもらうことで地域に溶け込むという発想です。残念ながら県営の4期でこの構想は断絶してしまったのですが、その後も市営の1期、2期に引き継がれています。

県営1期。左手に帯状に連続する棟、右手に塔状に散在する棟が並びます。中庄団地建替えのトップバッターです。
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県営2期。プランターボックスと屋根線と壁の出入りで空中歩廊を造形しています。下の階とは開口方向を90°ひねっているので日照的には疑問がありますが、落ち着きの感じられる上手いデザインだと思います。
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県営3期。これまでよりも建物を高層化して、歩行者空間を公園のように拡大しています。ランダムな形態が続いていて、良くまとめられるなと感心します。
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市営1期。宙で留まる歩廊は県営4期から伸びる予定だった歩廊を受けるデザインの名残だと思います。敷地内を大きく回った後に動線は右手にある2期へと伸びます。
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市営1期より2期を望む。手前右手が集会室です。わざと敷地端に持ってきて工区間の住民のつながりを高めるという発想です。奥に見える円形劇場もどきはその対として計画されたスペース。実際には手摺を付けられてしまい広場としては使えません。
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市営2期より1期を望む。1期の集会室が見えます。
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●坂出人工土地

倉敷市営中庄団地を見学した後に足を伸ばして坂出人工土地を見学に行きました。人工地盤の考え方は今では珍しくありませんが、街ごと持ち上げようと発想し、本当に実現してしまった極めて珍しい例だと思います。しかも現役です。
実際に訪れてみると、シンプルな形態とダイナミックな空間構成による非常に良く出来た街路デザインであることがわかります。その一方で、街全体からは荒涼感が漂っているのも事実です。それは設備を更新すれば蘇るといったたやすいものではなく、計画時に描いた世界観が既に崩壊して遺跡になるつつあるかのようです。これほどの計画が40年に満たずに今の状態を迎えている様は、街を造ることの難しさを改めて考えさせられます。

地上面に面した階は商業施設が入っており、成長した並木が美しい景色を形成しています。
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人工土地は平坦なだけではなく、ホールの天井傾斜をそのまま形にした傾斜地もあります。人工的に丘の上の傾斜地型テラスハウスを作り出しています。
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人工土地の上にはモダンな意匠の街が展開されます。デザインという面では本当に今も昔も変わっていないと思わされます。
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立体的に展開される街路。白いドームは地上階の駐車場へのトップライトだと思います。
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